病院再編統合問題

 厚労省が全国424の公立・公的病院を名指し、再編・統合に向けた再検証を求めている問題で、福知山市の市立福知山市民病院大江分院も対象とされていることを受け、「福知山の医療と福祉をよくする会」は11月28日、福知山市内で、この問題を考える学習会を開きました。

 京都医労連の塩見正書記次長が、国の医療「改革」の狙いや今回の公表の問題点について報告。今後、高齢化に伴い病床の需要が増す一方、国は「地域医療構想」の実現により、急性期から回復期への病床機能の転換を通じ、「患者を在宅に送り出し、ベッドを減らす」ことを一貫して狙っていると強調。また、同構想で、医療費削減と医師・看護師数の抑制も進めようとしていることに警鐘を鳴らしました。

 今回の公表に踏み切った背景には、病床削減が思うように進んでいないことへの「焦り」が表れていると説明しました。そして、選定基準には、▽結論を一方的に示し、地方の自治をないがしろにしている▽公的・公立病院に期待される役割を限定的・機械的に判定―の問題点があると強調しました。

 対象となった病院の7割が地方や中小の病院となっていると指摘し、「要するに地方、中小をターゲットにし、そこを切り捨てる基準をつくったのではないか」と述べました。

 さらに、対象病院には「類似かつ近接」の医療機関があるとされた判定基準について、「類似かつ近接」の医療機関名が具体的に提示されていないことを示し、「国民の立場で検証できる情報が公表されていない。これは、『桜を見る会』と同じ問題だ」と指摘し、「(国の方針に)反撃する運動を地域からつくる必要がある。署名を大いに進めていくことをお願いしたい」と呼びかけました。

 日本共産党の中村初代市議(大江町在住)は、住民から聞き取りを行った結果、「身近ななくてはならない病院」などの訴えが寄せられたことを紹介し、「地域医療を守る輪を広げ、市民とともに運動を進めていきたい」と語りました。会場からは、「立場の違いを超えて、病院を守る運動に取り組める仕掛けを考えていくべきだ」などの意見が出されました。