住民尽力「鳥居」が再建 一昨年の台風で被災、右京区・神ノ木神社/支援組織立ち上げ募金、来秋には神事も再開へ
京都市右京区嵯峨野神ノ木町にある神ノ木神社の鳥居が、2年前の台風で倒れてきた神木で破損しましたが、地元住民らの再興を願う活動で、このほど再建されました。
2017年10月の台風21号の強風で、高さ20メートル以上の神木であるエノキが鳥居の上に倒れた上、鳥居のすぐ南を走る京福電車の線路もまたいで横倒しになりました。
台風のあと、別の神木も枯れていることが分かり、伐採を余儀なくされ、4本あった神木のエノキがすべてなくなってしまいました。長年、同神社の世話をしてきた長老らによる「弁天会」も高齢化のため解散となり、毎年行われてきた11月の御火焚祭(おひたきさい)も途絶えました。神社の近くに住む日本共産党元京都市議団長の藤原冬樹さん(76)は「ショックでした。エノキの大樹は葉が茂り、すがすがしい景色でした。小さな神社ですが、近所の子どもたちや住民の憩いの場だった」と言います。
寂れる神社に近所の住民が「何とか再興を」と話し合いが始まりました。藤原さんら3人が同神社を支援する「神ノ木龍神会(仮称)」を立ち上げ、神ノ木町など地元を中心に寄付を呼び掛けました。160人以上から100万円以上が集まり、修復にこぎつけました。
11月21日には早朝から、石材店の職人が横幅167センチ、80キロの貫石を取り付ける作業が行われました。鳥居は高さ約2メートル。破損した貫石を差し込み、上に笠石(約3メートル)を載せ、神社の名前を書いた額が取り付けられました。
再興へ奔走してきた藤原さんは「うれしいですね。地元の心のよりどころとして今後も盛り立てていきたい」と言います。同神社のすぐ近くに住む元町内会長の中井喜義さん(86)も「妻や女性たちが寄付に駆け回り、多くの人が協力してくれました。神社は子どもの遊び場であり、願い事や感謝の気持ちを伝える身近なところだと改めて気づきました」と話しています。
完成した鳥居を前に地元の住民らは「木を植えよう」「子どもたちのまつりも考えてみようやないか」など喜びの声が聞かれました。年明けには記念式典が予定され、来秋には、4年ぶりの御火焚祭も開きたいとしています。