戦時中、軍の命令などによって日本各地の動物が殺処分されたため、生き残った名古屋市営東山動物園のゾウを子どもたちに見せようと特別列車「ぞう列車」が走って今年で70周年になることを記念して、市民合唱団「宮津・与謝ぞうれっしゃをうたう会」は12月8日、宮津市のみやづ歴史の館文化ホールでコンサートを開き、合唱構成「ぞうれっしゃがやってきた」などを演奏しました。観客は260席の会場に入りきれず、急きょモニターを設置したロビーに訪れた人を含め330人以上が来場しました。

 この日は、太平洋戦争開戦78年目にあたることから代表が、「多くの犠牲の上に今の平和がある。この世に生まれ、出会えた幸せとすべての命に感謝の気持ちをこめたコンサートです」などとあいさつ。

 出演した4歳から85歳までの51人(うちこどもは16人)は、“平和は自ら作るもの”との意味の「Peace begins with me」の文字とゾウのイラストがプリントされたTシャツを着て舞台に立ちました。

 第1部は、「ハッピー・バースデー」に始まり、「ありがとうの花」「青い空は」「パプリカ」世界の「こんにちは」が入っている「歌おう!踊ろう!輪になって」(藤村記一郎氏作曲)。を披露。参加者も一緒の振り付けをしてもらい、ステージと会場がひとつになりました。

 今年3月に全国の「ぞうれっしゃをうたう合唱団」に宮津・与謝から参加し、チェコで演奏した8人のメンバーによるチェコツアー報告も行われました。

 第2部は合唱構成「ぞうれっしゃがやってきた」を演奏。練習の成果と熱い思いを表現しました。チェコツアーに学び、演出や照明を工夫したことで、歌の世界がお客さんにしっかり伝わったように思います。

 子どもの中で最年長の6年生の女の子4人がゾウ使いの娘をダンスと演技で表現。また、チェコツアーでつながった仲間が3人、群馬や愛知から訪れて舞台に立ち、合唱を応援しました。ラストには原作者小出隆司さんをステージに登壇。子どもたち全員が発言した後、会場と一緒に「ぞうれっしゃよはしれ」を歌いました。

 多数寄せられた感想には「合唱を見ていて感動して涙が出るとは思わなかった。本当に素晴らしかった。幸福です。ありがとう」「(子どもたちは舞台を)自分たちで創るという自覚にあふれていた」「すばらしい!すばらしい!子どもたちの存在が、大きく、深かった」など、感動を伝える文字が並び、メンバー全員が元気をもらいました。(石野洋子)