京丹後市長選が19日告示、26日投票で行われます。旧6町の合併から16年、人口減少など地域の疲弊が進行するもと、前・現市政は、そうした疲弊を加速させる学校統廃合や市民負担増を強行してきました。市長選では、「住民の暮らしそっちのけで統廃合にあけくれてきた悪政」を続けるのか、「ともに京丹後」共同代表の長砂こうき氏(56)の勝利で、「暮らしと丹後の再生へ、はっきり変える」かが問われています。

 市長選には長砂氏の他に、現職の三崎政直、前市長の中山泰(04年~16年)、前市議会議長の松本経一の各氏が立候補を表明しています。

学校、保育所合併から半減

 同市は、04年に6町が合併して誕生。合併時から人口は約1万人(15%)減少。もともと府平均の3分の2程度だった所得も13%減りました。労組や民主団体でつくる「新しい京丹後をつくる会」の市政アンケートでは、暮らしが「良くなった」は4%だけです。

 地域の疲弊が続くもと、前・現市政下では、学校・保育所の統廃合と市職員の削減が進められてきました。小学校は31校から17校に、保育所は30園から15園に統廃合されました。市職員は202人(約33%)減らされました。

 久美浜町で事務用品を扱う商店店主は、「近くに学校(高龍中)があった時代は、店の前が子どもの通学路で下校時などに文房具を買いに来てくれていた。教職員も買い物にきていたのに、学校とともにそれも無くなった」と地域経済への影響を語ります。

 また両市政下では、地域の疲弊に追い打ちをかけるように負担増を押し付けてきました。

中山市政では、国保税値上げ(12年度、平均17・5%)、水道料金値上げ(15年度、7%)を強行。

市民へ痛みの一方で無駄遣い

 三崎市政では、上下水道料金値上げ(19年に消費税10%増税分を転嫁)、国保税値上げ(19年度、40歳未満の子ども2人世帯で46,700円増)、ごみ袋値上げ(19年10月、1・5倍化)を行いました。

 年金生活の70代男性は、「年金は、ここ数年で40万円以上減った。そこへ負担増とは『殺す気か』と言いたい」と語ります。

 負担押し付けの一方で、三崎(当時は市議)、松本両氏も賛成(共産党は反対)した、バイオマス発電施設「エコエネルギーセンター」が09年から稼働。施設改修や指定管理料に約1・5憶円が注ぎ込まれましたが、稼働を続けるには大規模改修などで30年60憶円の費用が見込まれる事態となり、18年5月で廃止されました。

 また、前・現市政は、国いいなりで悪政を推進してきました。その最たるものが、本格運用開始から6年以上が経過した米軍レーダー基地です。

 基地の受け入れを13年9月に表明したのは、中山前市長ですが、表明前の同年7月、共産党を除く各会派代表が、受け入れの判断を求める要請を行いました。当時、三崎氏は丹政会代表として名を連ね、松本氏の所属する「清風クラブ」も要請に加わりました。

市政転換を訴える「ともに京丹後」長砂こうき氏

 「住民の安全・安心の確保」が大前提とされましたが、基地設置当初から事故防止のための軍属の集団居住という約束は守られず、騒音問題や米軍関係者による交通事故も続発しました。

 こうしたもと、三崎市長は、「米軍基地へのあらゆる不安を解消する」を公約に前回選挙で初当選。しかし、米軍関係者の交通事故の概要報告を「事故件数のみにする」という防衛省の方針変更を、事実上「容認」しました。さらに、基地の2期工事をめぐる休日工事強行やレーダー不停波問題など約束違反が繰り返されてきました。

国いいなり悪政を推進

 消費税10%への増税をめぐっては、同市の地域経済と市民生活へ大きな影響が予想されるにも関わらず、三崎氏は、「全国市長会が実施を求めている」と賛成してきました。

 こうした前・現市政の悪政を市長与党の一員として支えてきたのが、前市議会議長の松本経一氏です。

 長砂氏は、市民生活と地域の再生に向け、同市の年間予算(約320億円)の1%で実施可能な「くらし応援すぐやるプラン」として、▽住宅改修助成制度の創設などで地域にお金と仕事を回す▽給食費の段階的無料化▽国保税均等割(18歳以下)の廃止▽介護保険料・利用料の減免▽地域づくりの拠点整備と人材育成▽米軍に直接ものを言う。日米地位協定の抜本改定を─などを掲げて奮闘しています。

 国保税の均等割が約7万円になるという3人の小学生の母親(40代)は、「この先の大学進学などで多くの費用が要ると思うので、均等割をなくして、子育てしやすい町にしてほしい」と長砂氏の公約に期待を寄せます

 また、前・現市長は、政治家の資格があるのかも大きく問われています。三崎市長は、酒食を伴う後援会総会で出席者の参加費を一部負担(一人あたり2000~3000円)していた問題で、公選法違反が指摘され、刑事告発されています。

 中山前市長は、セクハラ問題を引き起こし、被害女性に陳謝して和解しています。また、独断的な行政運営で「議会軽視」などという批判決議が9回以上あがっています。