コロナ危機からMetroを救え アーティスト59組がアルバム制作で支援 DJ・プロデューサーのSinkichi呼びかけ
今年で創業30年を迎えた京都の老舗クラブ「CLUB METRO(クラブメトロ)」(京都市左京区)が新型コロナウィルス感染拡大防止のために、営業自粛し、存続の危機に陥るなか、同クラブで活動してきたアーティスト59組が支援に向け動きだしました。無料で曲を提供し、収益全額を寄付するアルバム『Save The Metro Compilations』を先月24日、米国の音楽販売プラットフォーム「Band camp(バンドキャンプ)」で発表。京都で30年間に培われた文化をアピールして文化の拠点METROの存続を目指します。
発起人は、京都出身で、京都のバンド「SOFT」「BASED ON KYOTO」に参加してきたDJでプロデューサーのSinkichi。かつて米軍支配下で激しい抵抗運動が起こったことで知られる旧コザ市(現・沖縄市)の伝説的ギタリスト神鬼の曲に心酔して2007年以後、拠点を同地に移し、沖縄の伝統音楽、エレクトリック・ダンス・ミュージックを融合したユニット「Churashia Navigator」を軸に活動しています。
アルバム制作に向けては、Sinkichiの下に、音響、美術、宣伝などのスタッフとして個性派アーティト6人が集結しました。新型コロナウィルス感染防止のために集まれないためSNSを駆使して連絡を取り合い、様々な音質、サイズで持ち込まれる曲のデータを最高の状態で統一できるよう試行錯誤を重ね、約1カ月で完成にこぎつけました。
Sinkichiの呼びかけに応え、京都出身のDJで、ジャズとダンスミュージックを融合させたパイオニア沖野修也をはじめ、LOFTSOUL、内川マサヒコ、2000BlackのDegoなどのビックネームから、若手まで幅広いアーティストが曲を提供。各バンドメンバーも集まって音作りができないため、多くがリモート作業で曲を制作してきました。
アコースティックのピアノやギターで静ひつな世界を表現したナンバーから、ロックや、京阪電車の構内のアナウンスや電車の音などを素材にした音楽、ノイズや電子音を使った幻想的な曲まで実に多種多様な魅力が高音質で楽しめるものとなっています。
アルバムを発表したBandcampは、誰もが曲を発表でき、購入者が満足度に応じて基準価格を目安に購入額を決めるシステムで、世界中のアーティストによって利用されています。近年では、著名なミュージシャンも利用するようになっています。 Bandcampは、通常15%を手数料としていますが、新型コロナウィルスの影響で苦しむアーティストたちを支援しようと5月1日に限り、手数料を無料にする「アーティスト・サポートキャンペーン」を実施。今回のアルパム『Save The Metro Compilations』は同日の売り上げが顕著だったとして、Bandcampの「ベストセーリング」部門に選ばれました。