「学生のまち」守る対策を コロナ危機で4人に1人が「退学・休学」検討 FREE京都の取り組み
「学生のまち京都で、コロナに負けず、僕らも声を上げていこう」。新型コロナウイルス感染拡大で、大学生らも深刻な影響を受けるもと、全国で学生による「#学費減額運動」が広がっています。京都府内でも14大学でオンライン署名などが取り組まれるとともに、5月8日には、学生団体が学生生活への影響調査結果や提言をまとめ、京都市に提出しました。学生の窮状やそれに負けず声を上げる活動とともに、各大学が打ち出した学業支援策や政治の動きを紹介します。
「コロナ禍で、アルバイト収入や保護者の収入減の影響から、退学や休学を考えている学生が4人に1人、約24・7%にも達する」。こんな衝撃的結果を明らかにしたのは、昨年11月に発足した学生団体、「高等教育無償化プロジェクトFREE京都」です。8日、京都市へ提出したアンケート調査(4月21日~5月2日、インターネットを使って実施)には、学生(府内の大学などに通う390人が回答)の窮迫する実態が浮き彫りになりました。
集計によると、アルバイト収入の使い道について(複数回答)、「生活費」が70・0%、「学費」が21・5%、「奨学金返済のための貯金」が20・0%と、アルバイト収入が学生生活維持に不可欠なものになっていることが判明。その上で、同収入が「減った」が38・2%、「ゼロになった」が29・2%で、マイナスの影響を受けたのは計67・4%、約7割になりました。コロナ問題で「バイトがなくなった」「やりたいが見つからない」は計44・1%になりました。
また、連休明けから各校で始まっているオンライン授業については、33・1%が「経済的負担が増える」と回答しました。
「困っていること・要望等」を書き込む欄には、「親が失業した。退学を検討したが残り1年なので奨学金を追加申請した。今までの分と合わせると総額300万円以上になり将来が不安。内々定が取り消され就活もやり直しになった」(私立大学4回生)など、悲痛な声が並びました(下記に別掲)。
切迫する実態を基に市に提出した緊急提言には、▽学生への一律給付金の支給▽学生アルバイトへの休業補償▽学生専用の相談窓口の設置―など、切実で緊急な要望項目が掲げられました。
FREE京都はこの間、学生の困窮が広がるもと「居ても立ってもいられない」と猛奮闘してきました。メンバーは同志社大、立命館大、佛教大などに所属する学生、約30人です。先月にはアンケートへの協力を呼びかけるチラシ約1500枚を京都市内の学生マンション93棟に配布。アンケートの集約作業や分析もみんなで知恵を出し合い、論議を重ねて行ないました。
新しくメンバーになった立命館大学1回生、古庄ゆうきさん(18)は、FREE京都が心のよりどころになったと言います。4月から下宿生活を始めたものの、大学の授業はなく、友人はつくれずじまい。奨学金の給付の遅れやアルバイト先が見つからないため、食費を削る毎日です。「孤独と窮乏生活の中、FREEに出会えてよかった。みんなと一緒に、苦しい状況を一刻も早く改善したい」と意気込みます。
事務局の同大学4回生、小島あずみさん(22)は「このままでは、多くの学生が退学や休学をせざるを得ません。抜本的支援策が、急がれます。市も国も学生の学ぶ権利を守って、持続可能な高等教育制度を創ってほしい」と訴えます。
- シフトを減らされ収入が激減。母子家庭のため、アルバイトの給料を学費に充てないといけないが、それをこれからできるかが不安(私立大学/4回生)
- 親の自営業が経営難になり、一人暮らしの家賃や生活費を払うのが厳しい(私立大学/1回生)
- バイトのシフトが減り、最終的には収入源が無くなった(私立大学/4回生)
- 家はインターネット環境が整っていないため、新たにWi-Fiを購入、契約しないといけません。そのためさらに出費が増えます。収入が激減した中で、通常の授業料を支払うことができるか、納入期限が延長されても、不安です(私立大学/3回生)
- 図書館が使えないから学業がはかどらない。自分で書籍を購入したいが、金銭的な不安からためらってしまう(国立大学/3回生)
- 体調が悪くなった際、病院にも行けず、自粛の関係で誰も呼ぶことができない(私立大学/3回生)