新型コロナウイルス感染拡大に伴うイベント・外出自粛の影響で、障害者就労支援施設で売り上げが減り、運営が厳しくなったり、工賃の減額などの事態が起こっています。府と京都市は、工賃が減少したケースなどに助成する制度を創設しました。障害者団体などが求めてきた制度が実現したものです。

 対象となるのは、就労継続支援B型事業所で、感染拡大の影響で生産活動収入が減少し、工賃の支払いが困難な場合に工賃を助成するもの。就労継続支援A型事業所(最低賃金を補償)は利用者が雇用契約を結ぶため、雇用調整助成金制度が利用できるので対象としていません。府で5000万円、京都市で6900万円の予算を組んでいます。

 障害者関連の4団体(京都知的障害者福祉施設協議会、京都社会就労センター協議会、京都精神障害者福祉施設協議会、きょうされん京都支部)は、5月14日、府と京都市に対して、障害者施設で工賃支払いに行き詰まっている実情を示して、助成制度創設や拡充を求めて要望書を提出していました。

 要望にあたり、各団体でアンケート調査を実施し、93団体が回答。就労系の事業所では、約9割の事業所が前年同月の収益が減少したとし、うち5割以上の事業所が25%以上減少していると回答。また、利用者への工賃支給について、収益が減少する中、積立金からの支給や支給できない状況が多く出され、在宅支援を行っている事業所のうち「来月以降は支給できない」「何らかの手立てが必要」とする事業所が7割を占めました。

 要望書では、調査実態を示しながら、工賃助成制度の創設・拡充とともに、厳しい状況になっている生活介護や就労移行支援事業も助成の対象とすることなどを求めています。

 きょうされん京都支部副支部長の西村直さん(亀岡福祉会理事長)は、「コロナ禍のもとで、収益が落ち、工賃の支払いが厳しくなっています。利用者を守るため、助成制度が府と京都市で検討されて、嬉しく思います。実態に応じて、柔軟に支援を実施してほしい」と話します。