社会主義運動へ影響力も 岩崎革也宛「書簡集」第3弾発刊/南丹市立文化博物館、革也研究会
幸徳秋水や堺利彦ら初期社会主義者と親交の深かった京丹波町出身の岩崎革也(1869-1943年)が、社会主義者らと交わした書簡を収録した冊子の第3弾がこのほど発刊されました。
南丹市立文化博物館と、退職教職員でつくる「京都丹波岩崎革也研究会」がまとめたもの。書簡集は同館資料目録として発行され、A3判79㌻。高畠素之、遠藤友四郎、北原龍雄、森近運平、大石誠之助との書簡(約200点)や書簡の写真などの図版を収録しています。
革也は地元の名望家で、社会主義者の活動を財政的に援助していたことから、活動資金の援助を求める内容が多くを占めています。しかし援助の依頼に留まらず、1908年1月に大石からは、当時の社会主義における二つの方法論について、どちらを取るべきか悩んでいるという相談が寄せられています。
また、革也自身の主張が分かるものもあります。森近からの1908年5月の封書では、革也が立憲政友会から衆議院選に立候補を表明(最終的に辞退)した際に作成された選挙用のチラシが同封されています。
チラシには「完全なる立憲政治とは、大多数の国民が選挙権を有して国政に参興する事であります。(中略)満二十歳以上の者は悉く選挙権を有すべき者なり」と普通選挙の実施を掲げています。
同研究会の田中仁代表は、「大石からの相談を見ると、単にパトロンという存在ではなく、運動への意見を求められており、運動そのものへ大きな影響力を持っていたことがうかがえる。また選挙チラシからは、当時のイギリスでも実現していなかった普通選挙を主張するなど、非常に先駆的な考えをもっていたことが分かる」と話しています。
500円(税込、送料別)。問い合わせ☎0771・68・0081(同館)。