複合施設にデュシタニが入る予定の宇都宮駅東口の再開発計画

共産党「植柳小跡地の計画再検討を」

 京都市の元植柳小跡地(下京区)に進出が計画されているタイの高級ホテルブランド「デュシタニ」をめぐり、国内でもう1カ所、開業を予定している栃木県宇都宮市の再開発事業で、同ホテルの資金調達を担当する会社がホテル建設に必要な資金調達に困難をきたしていることが分かりました。同事業ではホテルの開業時期の見通しが立っておらず、京都市議会では日本共産党が6月8日、同跡地活用計画は再検討すべきと要求。地元の住民も同12日、市議会に同様の陳情書を提出しました。

 宇都宮市議会への市の報告資料(5月29日)や地元紙などの報道で分かったもの。同事業は、JR宇都宮駅東口で進められているプロジェクト。野村不動産(東京都)を代表者とする企業グループと宇都宮市との官民連携で、コンベンション施設、ホテルや商業施設などが入る複合施設などを建設します。

 デュシタニはタイを代表するホテルチェーン「デュシット・インターナショナル」のブランドで、同複合施設に入ることを予定(部屋数280室)してきました。その進出のために、日本国内でビジネスホテルを運営する「カラーズ・インターナショナル」(東京都港区)と2017年3月に、日本でのホテル開発・運営を行う合弁会社「デュシット・カラーズ株式会社」(昨年12月に「D&J株式会社」に社名変更)を設立。当初は、5月着工、2020年8月開業を見込んでいました。植柳小跡地での計画も同様の枠組みです。

宇都宮市担当者「ホテル変更の協議も」

 宇都宮市の同報告資料によると、資金調達を担当するカラーズ社は19年の段階で、野村不動産などに「ホテル整備資金の具体的裏付けを提示できなかった」もの。さらに、今年の新型コロナウイルス感染拡大で、「インバウンドを含めた宿泊需要の回復が見通せず、新規ホテル事業に対する(金融機関からの)資金調達が非常に厳しくなっていること」から、野村不動産らが「整備が遅れる」と市に報告したとしています。デュシタニをとりまく状況は一層厳しく、本紙の取材(6月11日)に同市担当室長は「野村不動産らは、ホテル変更も含め、別のホテル数社とも協議を行っている」と言います。

植柳小跡地でのデュシタニの進出計画

 一方、京都市の元植柳小跡地に建設されるデュシタニ(約160室)の完成予定は23年夏。宇都宮市とは1年遅れで並行して事業が進む計画でした。

 京都市議会総務消防委員会で、日本共産党の山田耕司議員は、当初から同跡地でのホテル計画の撤回を求めてきたことを挙げ、「宇都宮での事態を深刻に受け止めるべきだ。市は計画の再検討を」と求めました。市側は、「計画に問題はない。進める」と強弁しました。

 ホテル計画に反対する地元住民でつくる「植柳校跡地問題を考える会」の世話人・大屋峻さんも、提出した陳情書で、事業者の審査基準に「企画提案事業を遂行するのにふさわしい体制」としていることを挙げ、再検討するよう訴えます。

 本紙は6月12日、カラーズ社にメールで、「同跡地計画での資金面に問題はないのか」と問い合わせましたが、期日(6月16日正午)までに回答がありませんでした。