特設サイト「save our crafts by MIYABI」

 京都市内の伝統産業にかかわる職人らが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に負けずに製品を販売しようと特設サイト「save our crafts by MIYABI」を開設しました。「コロナ禍で大変な時こそ、職人の頑張り時」と意気込みます。

 サイトは5月、公益財団法人「京都伝統産業交流センター」(左京区)の京都の伝統工芸品を扱うネットショップ「京もの専門店・みやび」内に開設されました。

田川さん
田川さんの和ろうそく
困難に負けずに助け合って

 発起人は、和ろうそくを扱う「中村ローソク」(伏見区)社長の田川広一さん(57)です。和ろうそくを使う、神社仏閣の神事や法要などが次々と中止や規模縮小になり、注文は例年の10分の1にまで落ち込んだと言います。「抱える職人はろうそくを手掛ける3人と絵付けを担当する2人の計5人。この状況では、職人が生活できず、伝統産業が衰退する」。この危機感から、仕事仲間に「職人を救済するプロジェクトの立ち上げを」と呼び掛けたところ、結婚式のムービー演出を行う「京都エタニティ」(中京区)の賛同と市の協力を得ることができ、開設へとこぎつけました。

 サイトのキャッチコピーは、こうです。「このままではコロナに京都の伝統産業が負けてしまいます」。田川さんは「これが掛け値なしの本心。でも、困っているからこそ、助け合おうとの気持ちを込めた」と言います。

 現在、サイトに参加する職人は、田川さんをはじめ、清水焼の窯元「京都日吉製陶共同組合青年会」(東山区)の高野洋臣さんら5人と、金箔押加工の「京金箔押 常若」(山科区)の藤澤典史さん、京雑貨・小物を製造販売する「夢み屋」(伏見区)の景山有岐子さん、手づくりかるた・花札を製造卸販売する「田村将軍堂」(同区)の田邨知史さんの9人です。「職人も顔を出して頑張ろう」。そんな田川さんらのアイデアで、サイトには、約70点の商品が並ぶとともに、職人それぞれが自分の仕事や製品の魅力を語る動画も付いています。

 高野さんは「今まで、展示会などに無縁だった若い人にも、見てもらえれば」と伝統にこだわらないモダンなちょこや抹茶碗を出品しました。「注文減など厳しい状況が続くけど、サイトのおかげで仕事へのモチベーションが上がりました」と話します。

 田川さんは「これからも励ましあって、参加する職人を増やしていきたいですね。商品は、通常販売価格の40%オフ。二度と手に入らない物が多いので市民の方にはぜひ、サイトを見てほしい」と呼び掛けています。

 サイトの開設期間は、8月31日までの予定。https://www.miyabi-satellite.com/