右側の「再開発ビル」が100㍍マンション(JR向日町駅周辺整備に係る都市計画原案より)
駅東側の整備地区(写真中央部)

 向日市が、JR向日町駅周辺の整備方針で、駅東口開設と併せて、高さ100㍍を超える超高層マンション建設を可能とする都市計画原案を公表し、住民から、「向日市のまちなみとは異質」、「駅前にタワーマンションを建てれば活性化するというのは幻想」、「拙速に決定しないで」などの声が上がっています。

 都市計画原案では、同駅に東口を開設し、西口と結ぶ自由通路の整備と、駅東側0・8㌶の土地に駅前広場、商業・住居などを集積した再開発ビル建設を想定。再開発ビルの住宅棟は、高さ約100㍍、最大36階建て300戸の規模をイメージしており、計画通り進めば、府内初のタワーマンションが出現することになります。

 都市計画原案は、2月に市議会まちづくり特別委員会で明らかにされ、6月に原案縦覧、説明会を経て、7月7日に公聴会が開催されました。

計画見直し運動化検討

 これら駅周辺開発問題を中心にした、向日市のまちづくりについて考えようと、住民らでつくる「住みよいまちづくりを考える会」(徳本茂・代表)は11日、同市内でシンポジウムを開催。タワーマンションをめぐっては、地震や火事など防災対策面での不安、投資目的になる傾向から町づくりとして良いのかの視点が大事などと、疑問や意見が出されました。徳本代表は、同会として、タワーマンションについて再考を求める運動を検討する意向を示しました。

活発に意見交流したシンポジウム

 シンポジウムのパネリストとして、国土問題研究所理事の幸陶一さん、元大手建設会社役員の鈴木堂司さん、高層マンションの計画変更の住民運動に取り組んだ波多野菅乃さんが登壇しました。

 幸さんは、高層建築の耐震設計で想定外の事象を考える必要性を強調し、「もうかれば良いではなく、防災や生活環境面など人命を第一に考えなくてはいけない」と指摘。鈴木さんは、タワーマンションは、「事業者にとって建設資金の回収効率が良いが、地域住民には、風や日照など住環境への悪影響がある」と課題を上げました。

 発言交流では、駅周辺整備の対象地の南側の地域で、電気機器製造大手の日本電産(本社・京都市南区)が、大規模な自社ビル建設を進めていることと併せ、駅東口整備事業との一体的な開発事業ではないかと指摘する声もありました。

 シンポジウムには、日本共産党の島田敬子府議、向日市議団が参加しました。

 向日市は今後、計画決定までに、都市計画案を作り、8月4日の都市計画審議会に報告。広告・縦覧や審議会などの手続きを行います。担当者は、「原案は、市としての想定であり決定したものではない。設計には時間がかかる」としています。