京都市が団体交渉拒否 児童館・学童保育職員ら府労委に救済申し立て「30年間団交続けてきた。使用者であることは明らか」
京都市が、児童館・学童保育所(139カ所)の職員の処遇について、同職員らでつくる全国福祉保育労働組合京都地方本部(福保労京都地本)との団体交渉を拒否している問題をめぐり、福保労京都地本は12月23日、市の行為は不当労働行為に当たるとして、府労働委員会に救済を申し立てました。同日、京都市役所内で記者会見したメンバーらは、30年前に団体交渉権を獲得しており、市が使用者責任を放棄することは許されないと訴えました。
福保労京都地本が市との団体交渉権を得たのは1989年です。市の児童館・学童保育事業は指定管理者制度によるものも含め、民間団体に運営が委託されており、職員の賃金・労働条件は、実質的に市の委託料で決められてきました。職員の低賃金の改善を求めて粘り強い運動を重ね、ようやく団交権を獲得。毎年、団体交渉の場で市と協議し、「職員処遇実施要綱」に基づく給与表を決定。算出された給与総額を含む委託料が各施設に支払われてきました。この結果、少しずつ改善が進み、どの児童館・学童保育所でも同じ賃金、労働条件が実現。児童館・学童保育事業の一定の質が担保されてきました。
ところが、市は4月、要綱の中身や扱いを一方的に変更。福保労京都地本が抗議し、7~11月にかけて3度、団交の申し入れをしたものの、市は「労使関係にない」などとして拒否してきました。
記者会見には、福保労京都地本学童保育・児童館支部委員長の大西良武さん、京都地本委員長の大西謙さんらが参加。大西良武さんは「団体交渉権を得るまでは、10年働いても手取りは月10万円程度だった。そうした中、交渉でわずかだが改善が進んできた」と強調。市と組合員は直接の労働契約関係にはないものの、30年間、団交が続けられ、市が要綱で事実上職員の給与を定めていることなどを挙げ、「市が労働組合法上の使用者であることは明らか。市の対応は、到底許容できるものではない」と訴えました。
大西謙委員長は、「実施主体者として市が団交に応じてきたのは、全国にも誇るべき仕組みだ。これを守ることこそ市のあるべき姿」と訴えました。