新作「手話指話千手観音」と聾学校の生徒とのコラボ作品の説明をする田中さん

府立聾学校生徒とコラボ作品も展示

 手話の指文字をアートに取り入れ、切り絵で表現した作品展が、京都市右京区のホテルビナリオ嵯峨嵐山(JR嵯峨嵐山駅東側・旧コミュニティ嵯峨野)1階ロビーで開催中です。和紙切り絵作家の田中道男さん(61)=京都市右京区=が、千手観音と組み合わせて、50音を表す手の動きを色とりどりの和紙で表した「手話指話千手観音」(180㌢㍍×90㌢㍍)や、京都府立聾(ろう)学校中等部の生徒とのコラボ作品など20数点を展示しています。

コロナ収束、仏画に込め

 今回の作品は、展示会場を運営する社会福祉法人全国手話研修センターにちなみ、指文字をモチーフに、新型コロナの収束の願いを込めて、これまでにもテーマにしてきた仏画の世界と融合したもの。

 「手話指話千手観音」は、構想から1年。試作を重ね、手の躍動感を和紙の色彩で、指が伝える文字部分を言霊の発光をイメージして表現し、作品自体も観音開きのスタイルに仕上げました。田中さんは、「手話が分かるように手の組み合わせの配置に悩みました」と言います。

 また、ろう者の人に見てほしいとの思いから、聾学校の生徒との作品づくりを学校に持ちかけ、生徒が紙を折って指文字の形を作り、田中さんがその生徒の似顔絵を切り絵で添えた色紙を仕上げました。田中さんは、「本格的な切り絵の指導はできませんでしたが、今後のアイデアは温めています」と夢を膨らませています。

切り絵で似顔絵を添えたコラボ作品

 田中さんは、独学で和紙切り絵を習得。宇多野病院(京都市右京区)のギャラリースペースでの展示をはじめ、毎年、個展を開催。祇園祭のうちわのデザイン、護王神社(京都市上京区)の「和気清麻呂と300匹の猪」を手掛けています。

 田中さんの活動の広報とインターネットでの作品紹介を担う「切り絵工房 道」代表の上阪美知子さんは、「仏画や寺社の風景をテーマにした作品に加え、今回のような社会的交流を通じた作家の作品に触れてもらえれば」と話しています。

 ほかに、東寺の十二天像などの新作を展示した同作品展は、31日午後6時まで。

 「切り絵工房道」ホームページhttp://kirie-michi.sunnyday.jp/index.html ☎090・7094・3132(上阪さん)。

「週刊京都民報」12月20日付より