財政難を理由に福祉施策などのリストラ方針を掲げる京都市で、門川市長は12月28日、記者会見を行い、来年度予算案への反映も含めた「直ちに着手する改革」の「方向性」について発表しました。その内容は、このままでは「財政再生団体」になると危機感をあおりながら、市民サービス削減や市民負担増だけを強調し、北陸新幹線延伸、堀川バイパストンネルの大型事業は「聖域」化したものとなりました。

 市では現在、「持続可能な行財政審議会」を設置し、来年3月に出される答申を踏まえ、来年度早期に新たな行財政「改革」の計画の策定する予定です。

 今回は、同計画を待たずに着手する「改革」の考え方の「方向性を発表した」もの。これを踏まえ、市は来年1月初めには、「今後の行財政改革の視点及び主な改革事項」を発表すると説明しています。

 会見で配布した資料によると、将来の借金返済のための積立金「公債償還基金」の取り崩しが2026年度には枯渇すると試算。「財政再生団体」となった場合には、国保料の3割値上げや保育料の4割値上げなど、市民生活に大きな影響が出ると強調。「財政再生団体」を避けるための改革の6つの視点として、消費的経費や投資的の見直し、公共施設の適正管理・受益者負担、人員体制・人件費の「適正化」を提起しました。

 併せて、見直しの具体的な主な項目として、敬老乗車証制度の受益者負担や市営住宅の家賃減免の見直し(2022年度以降)、補助金・支援金の見直し、職員削減と合わせた委託化・民営化の推進などを列挙しました。その一方で、ムダな大型公共事業として、来年度の予算案に計上を見送るとした主なものは、鴨川東岸線第三工区などにとどまり、莫大な財政負担が予想される北陸新幹線延伸、堀川バイパストンネルなどについては、見直しの対象とはしませんでした。