コロナ禍で見えた学校の大切さ「登下校、給食、友達とのふれあい…授業だけが学びではない」教育研究集会で鈴木大裕氏が講演
京都教育センター第51回研究集会と第70次京都教育研究集会の全体会が12月19日、京都市左京区の教育文化センターで開かれ、オンラインを含め156人が参加しました。
教育研究者の鈴木大裕氏(高知県・土佐町議)が「子育てと世直し~コロナ禍を機に考える『学校』という場所『教師』という仕事」と題して記念講演。鈴木氏は、コロナ禍で見えてきたのは「学校は子どもにとっても親にとっても大切な場所だということ」と指摘。子どもの詩を引用しながら、子どもたちの心に残っているのは登下校の風景や友だちとの遊び、給食時間が多いと紹介し「授業だけが『学習』ではない」として、受験のための競争的な教育や学力テストの在り方に疑問を投げかけました。そして「社会が変わらないと教育も変わらない」と述べ、仲間を増やし、声を上げていく重要性を強調しました。
小学校35人学級「まだ半歩、さらに20人学級へ」
同センターの高垣忠一郎代表と京都教職員組合の河口隆洋委員長があいさつ。河口氏は、国が40年ぶりに小学校の学級規模を40人から35人に引き下げを決めたことについて、全国で22万人を超える少人数学級を求める署名運動(京都では3万1000人分)の成果であるとともに、「まだ半歩前進。中高でもただちに実施すべきであり、35人にとどまらず、20人程度の少人数学級を求めてさらに声を上げていこう」と述べました。
京教組の松岡寛・教文部長、教育センターの本田久美子事務局長が基調報告。松岡氏はコロナ禍での一斉休校を経て、子どもたちの学習内容が増え、不登校が増えていることや教職員の過酷な労働実態を報告。本田氏は府内の学校統廃合の現状や人口急増地での過大規模校が木津川市をはじめ、全国各地で起こっていることについて「コロナ禍を一つの契機として、国民世論となりつつある少人数学級の実現が重要になっている」と指摘しました。
現場の教員と保護者が発言。中学、高校の教員は、学校現場の混乱や工夫した教育実践などを報告。木津川市の城山台小学校の保護者は、8年前に開発された新興住宅街によって、全校児童数が現在の1000人から、6年後には1800人を超える日本一の超マンモス校になるとして、未就学児の保護者で「こどもの未来を考える城山台パパママの会」を結成し、学校の新設を訴え市議会への請願運動などに取り組んできた経過や子どもたちへの願いを語りました。