違法な切土量約350立米と推定「金閣寺に原状回復の指導を」 研究者が文化庁に申し出
特別史跡・特別名勝の金閣寺(京都市北区)の庭園で、文化財保護法に違反して申請手続きなどをせずに切土などの形状変更が行われている問題で、京都市埋蔵文化財研究所研究員の東洋一さん(64)=京都市左京区=は3月15日、切土が広範囲に行われたとする新たな試算結果を示し、金閣寺に原状回復の指導をするよう文化庁に求める申し出を行いました。
問題となっているのは金閣寺駐車場横の方形の高まりで、室町幕府3代将軍・足利義満建造の仏塔「北山七重大塔」の基壇推定地となっている場所。
切土の計算については東氏と代理弁護士の中島晃弁護士が一級建築士に調査を依頼。昨年、京都府・市による発掘調査の際に作成された測量図と1988年に金閣寺が作成した測量図とを比較し、最大で高さ74㌢、全体で約350立方㍍に及ぶと推計しています。
申出書では、大規模な切土が行われた理由などについて、金閣寺側が2016年、文化庁に提出した図面に現状変更申請していない「既存広場」「既存園路」の記述があることから、これらの設置時に行われたと指摘しています。
さらに、発掘調査は3月末に報告書を刊行し終了することになっていることを踏まえ、「重大な現状変更が繰り返しおこなわれてきたことはきわめて憂慮すべきこと」「今回の問題を曖昧なまま幕引きすることは許され」ないと主張しています。
東氏らは昨年6月、金閣寺側が方形の高まりでトイレ横の石垣の設置や「既存広場」「既存園路」設置にあたり違法な現状変更が行われているとして文化庁に申し出を実施。府・市が9~10月に発掘調査を行い、石垣部分で違法な切土が行われたことが確認され、金閣寺は記者会見に向け、謝罪のコメントを発表。しかし、調査範囲が石垣設置部分と既存園路の一部にとどまったため、東氏らは「既存園路」「既存広場」など全域を調査するよう第2次の申し出を行い、切土の試算もして今回の第3次申し出に臨みました。