学習会での発言内容を同時進行でまとめたもの
かわいそう?「子どもをなめないでほしい」

 婚姻の際、どちらか一方の姓を名乗る同姓を義務付けている現行法を変え、慣れ親しんだ姓を名乗れる選択の幅を広げようという運動が広がるなか、今年、市民有志で発足した「選択的夫婦別姓の法制化をすすめる会@京都」が3月21日、キックオフイベントに位置付けた学習会「これからの結婚について話そう」をオンラインで開きました。

 同「会」は、政府が昨年末に決定した「男女共同参画第5次基本計画」で、「選択的夫婦別氏制度」の記述も削除し、当初の政府案から大幅に後退させたことを受け、別姓を選択する当事者らで発足したもの。関心のある中高生も迎え、府議会の女性議員と意見交換するアクションも始めています。

 この日の企画では最初に、同「会」の田中めぐみ代表が、発足の経緯や取り組みを紹介した後、中高生4人と旧姓を通称使用している渡辺輝人弁護士が、あかたちかこさん(思春期アドバイザー)の司会で自由に意見交換。なぜ、日本だけが夫婦同姓を強制させるのか、法整備に向けた現状や課題は何か、など考え合いました。

 法整備の状況について渡辺弁護士は、1996年の法制審議会で同制度導入を提言した答申はできているが、自民党の右派議員らの反対で進んでいないことを指摘。法改正は、戸籍法の条文に「別姓」(それぞれの姓)を選ぶという項目を加えるだけなので「やろうと思えばすぐできる」と解説しました。

 登壇した生徒らも発言し、母親の再婚で姓が変わった経験をしたアサコ君は、親と姓が違うことで〝子どもがかわいそう〟という発想に対しては、「子どもをなめないでほしい」と表明。「大人が気遣うほど苦労はない。別姓の選択肢を増やすことは人権を守ることだと思う」と述べました。

 別姓を選んだ両親を持つ、ひーこさんは、「将来、私も別姓を選びたい。着たいと思う服を着るのと同じようにアイデンティティーを大切にしたい」と話しました。

 日本だけが、同姓を強制していることに疑問を持つリン君は、「ぼくらが結婚する時に同姓の強制が障害になるのは嫌。選択肢を増やすだけなら早く実現してほしい」と要望。トークを終えてタンダさんは、「当事者の体験や意見を聞き、変えていかないといけないという問題意識をはっきり持った」と感想を述べました。

 これが普通だと諦めている意識を変えるため、「学校で、権利に関することをもっと教えてほしい」という意見も出されました。あかたさんは、「(教育現場では)これはだめと抑止することは多いね。権利について教えることは大事」と応じました。