大戸川ダム建設に緊急性ない 「建設再開」含む河川整備計画変更原案で公聴会 今本京都大学名誉教授が公述
国土交通省近畿地方整備局は3月28日、国が建設を凍結した淀川水系・大戸川ダム(滋賀県大津市)の建設を明記した河川整備計画の変更原案についての住民公聴会を京都府で開きました。京都市内で開かれた公聴会では、公述人が「大戸川ダムの建設の根拠は崩れている」「堤防強化などをまず整備すべき」と同計画を批判しました。
京都府内で公述したのは、大戸川ダムの建設凍結などを決めた淀川水系流域委員会(2001年~09年)の元委員長である今本博健・京都大学名誉教授。今本氏は、同計画での流量と流下能力の問題点や、計画高水位を1センチでも超えたら堤防が壊れるとする想定のためにダム建設を優先する計画を批判。大戸川ダム建設について、「天ケ瀬ダムの2次調整を行えば大戸川ダムの必要根拠は崩れることになる。建設には緊急性はない」と述べました。
また、大きな被害をもたらす破堤対策として堤防に鋼矢板を打ち込む堤防の強化や、遊水地の確保などをあげ、「流域治水を行うのは良い取り組みだが、大戸川ダムの建設を進めるのはおかしい」と主張しました。
公聴会は各地で開かれ、滋賀県は6人、大阪府は1人が公述しましたが、三重、兵庫、奈良会場では公述人がいなかったために公聴会は中止となりました。