京都市が昨年4月から実施した介護認定給付業務の民間委託をめぐり、住民団体のメンバー7人がこのほど、同業務の民間委託は不当であるなどとして市監査委員に住民監査請求を行いました。これを受け、市監査委員による監査が4月21日に行われ、同メンバーが意見陳述し、専門性が求められる業務を民間に委託したことは「市民の利益を脅かすもの」と訴えました。

 監査請求は、同業務の民間委託に反対してきた「雇い止めごめん!介護に責任をもて!市民の会」の「住民監査プロジェクト」のメンバーが3月29日におこなったもの。請求書によると、委託した業務の一つ、要介護認定は介護サービスの受給に決定的影響を与えるものと強調。委託前は、担当職員が申請者の市民の相談に乗り、必要なら生活実態の追加聴取も行うなど、専門性とともに「公務として行うべき業務」と主張しています。併せて、業務委託先の選定は地方自治法上、競争入札が原則にもかかわらず、公募型プロポーザルによる随意契約で、選定されたパーソルテンプスタッフ(本社東京都)1社だけの参加だったと指摘。競争入札であれば委託料が低廉になったことが想定されると述べ、市財政に損害を与えたとして、門川市長に市の被った損害を補てんするよう求めています。

 この日の意見陳述は、南博之、中村暁両氏が行い、随意契約や民間委託の不当性を改めて主張。民間委託した結果、認定が長引き、末期がん患者が申請中に亡くなった事例がいくつも発生していると述べ、「今回の委託そのものが不当であり、それに基づく財政支出を認める訳にはいかない」と訴えました。