実態は公有地の開発企業への提供 京都市「団地再生計画」、左京で学習会
京都市が進めている老朽化した改良住宅の建て替え・改善・集約化のために策定した「団地再生計画」の問題点を学ぶ「学習&懇談会」(実行委員会主催)が4月25日、左京区内で開かれました。
「団地再生計画」は現在6カ所(錦林、楽只・鷹峯、三条・岡崎など)の地域で進行中です。同区にある養正市営住宅がその一つとなっていることから、学習会は開催。養正市営住宅の入居者をはじめ近隣住民ら約30人が参加しました。
講演した日本福祉大学名誉教授の片方信也氏は、市営(公営・改良)住宅の応募倍率は2020年で4・4倍で、公営住宅として市の政策上、極めて重要な位置を占めていると強調しました。
ところが、同計画の上位計画となる「市住宅マスタープラン」(2010年策定)には、こうした住宅ニーズにどう応えるかは示されていないと批判。さらに、「市営住宅ストック総合活用計画」(11年)では、改良住宅は「早期に集約」化し、集約地は「民間活力の導入などを図る」としており、「実態は公有地の開発企業への提供だ」と指摘しました。
今年3月策定の「養正市営住宅団地再生計画」では、棟を集約化して空き地となるゾーンには、「賑(にぎ)わい・交流」の拠点とする「活用予定エリア」の導入が前提なっていることを挙げ、「地域の主体性がゆがめられている」と批判しました。
今後、住民自身が、▽住み続けられる▽資本の開発主義に抗する住民の主体性―を目標に、「まちづくり構想」を起案していくことが重要と訴えました。