土が盛られていた部分が削られて造られた園路

 特別史跡、特別名勝の金閣寺庭園内の中世遺構に違法な現状変更が行われたとして、京都市埋蔵文化財研究所研究員が、文化庁に原状復帰などを求めて申し出を行っていた問題で、府と京都市はこのほど、歴史的重要性を指摘する一方で、違法性がなかったとする発掘調査の最終報告書をまとめました。

 申し出を行った東洋一さんは金閣寺庭園内に2㍍ほど土が盛られている遺構は室町時代、足利義満により建立された北山七重大塔の可能性があり、石垣を設置したり、土を削って園路を設置しているのは、不法な現状変更だと指摘していました。

 報告書では、中世遺構は、1辺約40㍍の正方形で、高さ2㍍。土に著しく熱を加えた跡が確認できることから過去に大規模な建造物の火災が起こったと説明。(大規模建造物の土台にふさわしく)土を密に固める施工も行われていたとも解説しています。

 その上で、京都府文化財保護課や金閣寺が所蔵する過去の測量図と比較すると、削って平坦な園路が作られたことが分かるにもかかわらず、旧地形を利用してつくられたと強弁。

 発掘調査で、無申請の水道敷設管設置工事によって遺構の一部が破壊されたことを認め、石垣設置時の盛り土は景観に影響を与えたと違法性を認めながら、全体として違法性がなかったと結論付けています。

説明に矛盾 「再検討」申し入れ

 最終報告書を受け、東氏と中島晃弁護士は4月21日、今回の最終報告により北山大塔の遺構である可能性が限りなく高まったとし、矛盾に満ちた説明で違法性がなかったとする結論を導きだしたことへの再検討と必要な調査を求める申し入れ書を文化庁、府教育委員会、京都市に送付しました。