中世遺構の保存措置を 金閣寺庭園内「北山大塔」土台部と推定 文化庁、府・京都市に再申し入れ
世界遺産に登録され、特別史跡・特別名勝の金閣寺庭園内の中世遺構が、昨年京都府・市による発掘調査などにより室町幕府3代将軍・足利義満が手掛けた「北山大塔」の土台部分である可能性が高まるなか、中世遺構区域内の現状変更は違法だとして文化庁に原状回復などを求めていた京都市埋蔵文化財研究所研究員・東洋一氏は5月20日、改めて遺構保存のために必要な措置を講ずることをもとめ、文化庁、京都府・市に申入書を送付しました。
申入書では、発掘報告書で▽遺構周囲の溝から過去に、塔頂上部に設置されたとされる大型の金銅塔宝輪の破片が出土した▽被熱が顕著で、大規模建物の火災と矛盾がない▽堆積はむしろ密で、土質の柔らかさは後世の風化による─などと論じたことから、遺構が「北山大塔の遺構である蓋然性(=確実性)が限りなく高まった」と指摘。
2015年に通路設置に関わる工事の際、「重要遺構などが検出された場合は、設計変更等により、その保存を図ること」との条件が付けられたにも関わらず、その際の発掘調査報告で重要遺構を疑問視する結論となったため遺構が破壊されたとし、今回の調査で評価が覆されたことから、従前の現状変更の許可について再検討を行い、北山大塔であったか確認するための調査を含め、必要な保存措置を講ずるよう求めています。
さらに、大型の金銅塔宝輪の破片について、文化財保護法にもとづく登録・指定等の保存措置を早急に講じるよう求めています。