「基本合意書」を力に屋外工救済、建材企業の責任追及を/アスベスト京都の会が総会
「アスベスト被害の根絶をめざす京都の会」は6月12日、第8回定期総会をZOOMで開き、建設アスベスト訴訟全国連絡会の清水謙一事務局長を講師にした学習会の後、21年度の活動方針と役員体制を承認しました。
学習会のテーマは、「建設アスベスト訴訟が勝ち取ったものとこれからの課題と展望」。講師の清水氏が、国と建材メーカーの責任を認めた建設アスベスト訴訟の最高裁判決を受けて、国会で、被害者救済のための補償基金を創設する建設石綿給付金法が成立(9日)するに至ったたたかいの経過や到達点を報告しました。
清水氏は、同給付金法について、原告や弁護団らが国と締結(5月18日)した、係争中のすべての建設アスベスト訴訟の和解と未提訴被害者の救済を裁判によらない行政認定制度で実行することなどを定めた「基本合意書」(4項目)の内容の具体化であることを指摘。基本合意から、3週間余りで法制定に至った「前代未聞」(厚労省労基局長)の前進であり、未提訴被害者の救済を国と合意した画期的な到達だと強調しました。
しかし、課題として、建材メーカーの責任と基金拠出の具体化、最高裁判決で補償の対象外とされた屋外工らの救済を挙げ、「基本合意書」を基にした継続的協議や法廷闘争など、あらゆる手段で企業への追及を強める必要性を訴えました。
京都1陣訴訟の原告らが、10年に及ぶ裁判闘争の支援に礼を述べるとともに、基金制度に加害企業の参加と、屋外工の救済の仕組みづくりに向けた新たなたたかいへの決意を表明しました。
アスベストゼロ社会へロードマップを
開会あいさつでは、会長の石原一彦立命館大学教授が、建設アスベスト訴訟のスローガンは「あやまれ! つぐなえ! なくせ! アスベスト被害」だと紹介し、「『なくせ』は残った課題。最高裁判決を契機に世論を高め、アスベストゼロ社会の実現へロードマップを示す必要がある」と述べました。
閉会あいさつで、副会長の梶川憲京都総評議長は、国に謝罪させ被害賠償給付金法を作らせた建設アスベスト訴訟のたたかいに敬意を表すとともに、「建設労働者がたたかって開いた扉を次のステージへ。京都府や市にもアスベスト被害解決に向けた支援策を行わせるよう会として役割を果たそう」と呼びかけました。