北陸新幹線延伸(敦賀—新大阪間)をめぐり、日本共産党南丹市議団は6月24日、南丹市の国際交流会館で延伸の問題点を考える学習会を開き、市民ら35人が参加しました。

 主催者を代表し、同市議団の鞆岡(ともおか)誠団長は、「延伸は府全体だけでなく日本のあり方の問題でもある。(計画中止を)大きな世論にして総選挙、知事選の争点に押し上げよう」と呼びかけました。

 ルート上にあたる同市美山町知井地区の住民らでつくる「知井の新幹線問題を考える有志の会」の長野宇規(たかのり)代表が講師を務めました。長野氏は、延伸に伴う地域への影響として、由良川の水質低下や大量の工事車両通行による騒音と渋滞への懸念とともに、ヒ素などの有害物を含む残土の処分問題などを挙げ、「住民生活にとって大きなマイナスになる」と語りました。

現行ルートは与党PTが選定

 また、計画の問題点の一つとして「ルート選定」を指摘。当初は、現行ルートより費用便益費の高い、米原駅(滋賀県米原市)で東海道新幹線とつなぐ「米原ルート」が有力でしたが、与党プロジェクトチーム(与党PT)によって現行ルートに決定された経過を説明。ルート選定の理由を問う野党議員の質問主意書に対して、政府は、与党PTが選定したため、「答える立場にない」と回答していることを紹介し、「驚きの答えだが、与党PTにしっかり聞いていかないといけない」と今後、追及していく考えを示しました。

 延伸をめぐり、京都市内で住民団体が結成されるなど運動の広がりを示した上で、「まだ(広く府民に)知られておらず、皆さんの関心を喚起していきたい」と述べました。

 質疑応答では、「南丹市は費用を一部負担するそうだが、駅もなく何の利益もない」という怒りの声とともに、新幹線と並行するJR線を経営分離する「並行在来線」問題をめぐり「通過するだけの地域なのに、(山陰線が)第三セクターとなり運賃の値上げが起こりうるのではないか」という懸念の声が上がりました。

 迫祐仁府議が府政報告を行い、西脇知事が延伸を「関西全体の発展につながる国家プロジェクト」と推進姿勢であることを示し、「コロナ危機のもと、どれだけ財政負担があるか分からない巨大開発を、リニアとともに推進するのかが問われている。総選挙では延伸反対の候補者を、知事選では府民の暮らしを守る知事を選んでいこう」と訴えました。

  衆院京都4区の吉田幸一予定候補があいさつし、「この学習会を通して、延伸計画が府民のためにならないものだと改めて感じる。計画断念の審判を示すために、総選挙で勝ちたい」と決意表明しました。