世界遺産・仁和寺(京都市右京区)の門前の大規模ホテル計画の中止を目指して、シンポジウム「京都の歴史遺産 過去・現在・未来―京都にはもうホテルはいらない」(実行委員会主催)が6月26日、中京区で開かれました。約60人が参加し、オンライン配信も行われました。

 実行委員長で元府立大学学長の広原盛明さんがあいさつし、「京都のホテルラッシュはコロナ禍でも続き、世界遺産の前にもホテルが建てられようとしている。京都のまちの危機を市民の力でストップさせよう」と呼びかけました。

 元滋賀大学学長の宮本憲一さんは「歴史的文化財・仁和寺がコンクリートの建物と共存できるだろうか」と問題提起。「市が歴史に学び文化的な観光施策を進めるというのなら、現在空き地となっている計画地は森にするなど自然のまま残して置くべきだ。計画を市が認めるなら京都の恥」と訴えました。

 都市計画家の中林浩さんは、京都市内に多数ある世界遺産や文化財について、「その周囲で市民は暮らし、そこを住みよい場所にしてきた」と強調しました。

 一方で「資本は、世界遺産を金もうけの手段としており、その周囲でホテル・マンション問題が頻発している」と告発。併せて、「市は景観規制が経済を衰退させたとして、土地利用の規制緩和や高級ホテルの誘致を続けている」と述べ、ホテルラッシュを促進する市の方針を批判しました。

 住民運動の交流が行われ、植柳小学校跡地のホテル計画や南禅寺参道のホテル建設に反対する住民らが、ホテルによる市民生活への影響を報告しました。

 実行委員会から、アピール「京都にはもうホテルはいらない『ノーモアホテル・京都宣言』」が提案され、参加者一同で、採択しました。