世界を旅した画家・絵本作家で、昨年12月に94歳で逝去した安野光雅(あんの・みつまさ)の追悼展が、京丹後市久美浜町の「森の中の家 安野光雅館」で12月6日まで開かれています。

 同館は同市出身の(株)「紫野和久傳(わくでん)」桑村綾会長が、長年にわたって収集してきた安野氏の作品を主に展示した美術館で、2017年に開館。オープンに向け、同地で10年前から約3万本の木を植え、森を育ててきました。

 美術館1階には、イタリアのトスカーナやポンタシェーベの町や人、クロアチアの村の風景などを描いた10作品の原画とともに、安野氏が同館を訪れて森の草花をスケッチしたり、詩を書く映像が上映され、写真も展示されています。

 また、デザイナーでもあった安野氏が手掛けた、美術館案内のしおりや看板の文字なども見どころです。

 伴とし子副館長は、安野氏が好んだ言葉に「雲中一雁」があると言います。「所詮(しょせん)、絵描きは一人、他の人に代われないことをやる、それがいいところでもあり、辛いところかもしれないと晩年も絵筆は離されませんでした」

安藤忠雄が設計した「森の中の家 安野光雅館」の外観

 9月6日までは画家・戸田勝久氏の「風の調べ─空想とノスタルジーの世界」の特別展も開催。9月8日からは、追悼展第3弾として「イギリスの村」が始まります(12月6日まで)。安野氏がイギリスは世界で一番村の美しい国、と好んで描いた村の風景画32点、日本の風景画8点、動物シリーズ6点が展示される予定です。

 「森の中の家 安野光雅館」(京丹後市久美浜町谷764)9時30分から17時(入館は16時半まで)。火曜日休館(祝祭日の場合は翌日休館)。一般1000円、高中生600円、小学生400円。問い合わせ℡0772・84・9901。