世界遺産・仁和寺(京都市右京区)の門前の大型ホテル計画をめぐり、計画に反対する3つの住民団体が9月1日、建設を止めるよう求めてユネスコ世界遺産センターとユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)にそれぞれ要請書を送付しました。要請書では、計画の問題点を詳細に調査し、京都市に厳重な警告を発するよう訴えています。

 計画の一帯は、世界遺産を保護するためにその周囲に設けられた緩衝地帯。ところが、市は特例で、建築基準法の規制の約2倍のホテル計画(延べ床面積5800平方㍍)を認めようとしています。

 「京都・まちづくり市民会議」「世界文化遺産仁和寺の環境を考える会」などが送付した要請書によると、「世界遺産条約の実施のための運用ガイドライン」で、緩衝地帯には重要な景観の保護のために「機能的に重要な(略)地域や属性が含まれるべき」と定めていると指摘。併せて世界遺産の普遍的価値について、「覆すことが困難な決定を行う前には、世界遺産委員会に通知を行う」ことを求めているにもかかわらず、「日本政府と京都市はこの手続きを怠っている」と告発しています。

 その上で、同センターとイコモスに対し、世界遺産条約や同ガイドライに反する計画について、詳細な調査などを行うよう求めています。