“斬られ役”今度は“主役”です スター支える殺陣技術集団「東映剣会」創立70周年記念公演 10月17日、府立文化芸術会館
時代劇の華、立ち回りシーンで次々とスターに挑む“斬られ役”。多くは役名もセリフもなく、ひたすら引き立て役に徹する縁の下の力持ちです。数々の時代劇を生み出してきた東映京都撮影所。“斬られ役”の大部屋俳優たちでつくる殺陣技術集団「東映剣(つるぎ)会」が創立70周年を迎え、初の主催となる記念公演を10月17日、府立文化芸術会館で行い、“主役”を務めます。
京都撮影所内に設けられた道場。「股旅三度笠、カット70、本番!」。大きな声とともにカチンコが鳴ります。公演の見せ場となる模擬撮影の寸劇の稽古。監督役、カメラマン役、役者、すべて東映剣会のメンバーが演じるため、全員眼光鋭く強面(こわもて)。妹を捕らわれた主役が格上の用心棒に追い込まれながらも必死で食らいつき、悪党一味に向かいます。次々斬られる悪党たちの断末魔は、迫力と個性に満ちています。
公演は昼の部と夜の部の2ステージ。俳優の里見浩太朗さん(昼の部)、栗塚旭さん(夜の部)が特別出演。トークゲストに藤岡浩二郎監督(昼の部)、中島貞夫監督(夜の部)を迎えます。
1部では、剣会の歴史を振り返り、特別ゲストが歌を交えたショーを披露。メンバーがテレビ時代劇のヒーローを演じます。2部では硬軟交えた模擬撮影の寸劇のほか、監督のトーク、殺陣の奥義を披露する舞台など盛りだくさんです。
東映映画村や外部のイベントに招かれ出演することはありましたが、主催公演は初めて。会場との交渉、企画・台本づくりなどすべて会員で話し合い、作り上げました。
殺陣師の清家三彦さんは「日本映画の殺陣の伝統の中で東映剣会が生まれ、育てられてきました。刀の一振りに人生を込める殺陣の技と演技、私たちの顔と名前を知ってもらい、今まで以上に時代劇を楽しんでもらえれば」と語ります。
【昼の部】午後2時半(2時開場)、【夜の部】午後5時半(5時開場)。当日券2200円。全席指定席。チケットの問い合わせ℡075・222・1046(府立文化芸術会館)。
東映剣会 1952年、殺陣師・足立伶二郎らを中心に殺陣技術の向上・発展と継承を目的に発足。片岡千恵蔵、市川右太衛門をはじめ銀幕のスターの絶大な信頼と庇護の元、最盛期には100人を超えるメンバーが在籍。信頼は美空ひばりから「うちの子」と呼ばれたほど。歌舞伎や大衆演劇など諸芸をルーツに、映画界で育まれた伝統的な型を基調に、時代に即した技術も加え、映画、テレビなど様々な舞台で活動中。ハリウッド映画『ラスト サムライ』などに出演した福本清三さんはОB。