“撮り鉄”人生の集大成に 山科区・佐竹保雄さん写真展「わが『やましな』の記憶」、ひと・まち交流館京都で開催中
蒸気機関車や電気機関車、客車などを撮り続けた“撮り鉄”による集大成となる写真展、「わが『やましな』の記憶 東海道線山科を走った蒸気機関車・電車たち」が、ひと・まち交流館京都(京都市下京区)で開催中です(17日まで)。
山科区在住で元京都市職員の佐竹保雄さん(89)。15歳で父のカメラを借りて写してから、最後の蒸気機関車が北海道室蘭本線を走り終えた44歳(1975年)まで、全ての休みを撮影に注ぎ込んできました。退職記念で特別列車を仕立てたり、東日本大震災で被災した三陸鉄道の支援など、鉄道三昧の人生を送ってきました。
写真展では、煙をはきながら東海道線の京都から大津へ向かう山科駅手前の大カーブでの迫力あるシーン、貨物や客車を引く長く美しいラインなど、蒸気機関車の魅力を余すところなく披露します。佐竹さんが85枚、大学時代からの後輩である福田静二さんが45枚、計130枚の鉄道写真が並びます。
佐竹さんは一両ずつきっちりと撮る「形式写真」を通してきました。機関車の先頭だけでなく、客車や車輪の違いも撮影するため、各地の機関区や車両基地、工場まで訪ねました。そのこだわりに注目した、鉄道図書刊行会は『日本の客車』(1962年)で、佐竹さんの写真180枚を採用。
鉄道ファンに贈る「佐竹ワールド」
鉄道雑誌『鉄道ピクトリアル』の表紙を飾ったり、『国鉄時代』では常連の寄稿、写真提供者です。カメラはパールⅡ型カメラ(ブローニ版フィルム)や一眼レフ、ブロニカ(カラーポジフィルム)などを使用してきました。
退職記念として1989年に走らせた特別列車「トレランス(寛容)号」には展望車「マイテ」も連結。希望者が相次ぎ、7年間毎年走らせ、計2000人が京都や滋賀を周遊する旅を楽しみました。また、東日本大震災の支援から三陸鉄道に乗る「トレランス号」も3回開催しました。
佐竹さんは「ここまでしているのは日本で私だけでしょう。鉄道を通じた人生はまだ続いています。多くの鉄道ファンの皆さんに佐竹ワールドを見ていただけたらうれしい」と話しています。
16日は休館。10時~16時半(17日は16時まで)、ひと・まち交流館京都1階作品展示コーナー。℡075・354・8711。