仁和寺門前ホテル計画事業者が2度目の入札参加停止/ 学童指導員雇い止めで大阪府労委が不当労働行為認定 共立メンテナンス社
京都市右京区の世界遺産・仁和寺の門前の大規模ホテル計画をめぐり、事業主の共立メンテナンス(本社・東京都)が、京都市から入札参加を停止されていることが分かりました。同社が大阪府労働委員会から、不当労働行為を行ったとして命令書の交付を受けたことによるものです。一方で市は、同ホテル計画を促進するため「上質宿泊施設」候補に選定した際、「雇用の安定化」を要件の一つとしていました。住民からは「選定は取り消すべき」との声が上っています。
共立メンテ社が参加停止となったのは、物品関係での競争入札です。停止期間は10月15日から2カ月以上で、法令違反が是正されるまでとする厳しいものとなっています。既に、同社は5月18日から7月20日まで入札参加停止となっており、今回が2度目です。
いずれも、同社が受託した守口市での学童保育事業をめぐってのこと。労働組合と団体交渉を拒否したことで中央労働委員会から不当労働行為と認定(今年4月26日)。京都市は1回目の停止を決定しました。今回、同社が指導員10人の雇い止めを行ったことについても、大阪府労働委員会が不当労働行為と認定(10月14日)。職場復帰などの救済措置をとるよう命令書を同社に交付しました。これを受けて、京都市は2回目の参加停止を決定したものです。
一方で、京都市は同ホテル計画を特例(建築基準法で延べ床面積3000平方メートルまでのところを約5800平方メートルまで緩和)で認めるため、「上質宿泊施設誘致制度」に基づく「上質宿泊施設」候補に選定(今年4月19日)。その際、「雇用の創出・安定化」を要件の一つとしていました。
候補選定取り消しを■「世界文化遺産仁和寺の環境を考える会」共同代表 桐田勝子さん
私たちは市に繰り返し、仁和寺門前の大規模ホテル計画を認めるべきでないと申し入れをしてきました。
雇い止めや団交拒否などの法令違反を行い、2度も京都市から入札参加停止となるような会社に、「雇用の創出・安定」などが望めるでしょうか。何を持って「上質」ホテル計画というのでしょうか。
今後、計画が特例適用となるためには都市計画法や建築基準法に基づき、建築審査会や事前の公聴会の開催が必要です。市は、こうした手続きを進めるべきではありませんし、「上質宿泊施設」候補の選定をまず取り消すべきです。