京都教育センター第52回研究集会・第71次京都教育研究集会の全体会が12月18日、京都市左京区の京都教育文化センターで開かれ、東京大学大学院の勝野正章教授の記念講演と「コロナとGIGAスクール構想」をテーマにしたパネルトークが行われました。

 主催者を代表して、京都教職員組合の中野宏之委員長と京都教育センターの高垣忠一郎代表がそれぞれあいさつ。

 勝野氏は「世界からみた日本の子ども・学校・教師~コロナ禍での教育のあり方」と題して講演し、コロナ禍で中断された学習の回復をめぐって、インターネットへの接続の強化を優先する議論が、国際的な流れにあることを懸念。その背景に、人を資本と見なし、教育を経済成長の手段ととらえる観点があると指摘しました。

 一方で、国連子どもの権利委員会の声明(20年4月28日)が、子どもの権利(生命、余暇、教育など)の尊重を強調。オンライン学習が既存の不平等を進めることへの懸念を表明し、生徒と教師交流がオンライン学習に置き換えられていけないと明確に宣言していたこと紹介しました。

 遠隔教育がコロナ収束後に支配的な規範となるなか、教員が学校や地方・国レベルでの教育政策の決定過程に参加することの重要性とともに、学校や教育の本来あるべき姿について、根本に立ち返って議論する必要性を指摘しました。

上から始まった「GIGAスクール」に不信感

 パネルトークでは、学校で始まったタブレットを活用した授業の実践や子どもの学校生活への影響などついて、小学校教諭の高橋智和さんと保護者の姫野美佐子さんが報告。

 姫野さんは、新婦人京都府本部の就学児童の保護者アンケートをもとに、視力低下や電磁波による健康被害の心配、五感を使う機会への不安など声の紹介。「GIGAスクール構想」が保護者や教員の声を聞くことなく上から決められ急に始まった不信感があると述べ、「高校でのタブレットを公費負担でと求めた府宛の署名のように具体的な方法で改善を求めていきたい」と話しました。

 全体会にはオンラインと合わせ、140人を超える参加がありました。

2022年1月23日・30日に分科会

 なお、第71次京都教育研究集会の分科会は、1月23日(日)・30日(日)、午前9時半から、京都教育文化センターおよび教育会館内で開催されます。