ヘイトクライムのない社会を ウトロ放火事件受け緊急集会に450人「差別に基づく悪質な犯罪認めないルールを」
第2次世界大戦中に日本軍の基地建設のためなどで朝鮮半島から集められた人々が戦後も住み続け、形成された在日コリアンの集住地区・宇治市ウトロ地区での放火事件(昨年8月)を受けて昨年12月26日、「ウトロでの放火事件を許さない! ヘイトクライムのない社会をめざす市民集会」が京都市上京区で開かれ、会場、オンラインを含め約450人が参加しました。
主催は、2009年に起きた京都朝鮮第一初級学校への襲撃事件の裁判に関わった研究者、弁護士らを中心に15年に結成された「京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会」(以下「求める会」)。
南山城同胞センター代表の金秀煥(キムスファン)さんが放火事件の映像を上映しながら、居住する民家も2軒延焼するなど人命が奪われかねない危機的な状況だったこと、同地区の歴史を刻む看板なども焼失したことを報告。「差別動機に基づく悪質な犯罪を社会として認めないルールを」と呼びかけました。
ウトロ民間基金財団理事長の郭辰雄(カクチヌン)さんは各地で在日コリアン施設を対象にした犯罪がおこなわれていることを示し、差別を背景にした犯罪の根絶のために、出会いと交流、学びの場を提供するウトロ平和祈念館建設に向けた支援を訴えました。
求める会共同代表の板垣竜太・同志社大学教授は、放火事件後、声明を出さない京都府や宇治市の姿勢を問うとともに、戦前の植民地支配に起因する日本国家、政府の南北朝鮮への差別が「ヘイトの源泉になっているのでは」と指摘。共同代表の上瀧浩子弁護士は、捜査、公判でも差別的動機を解明し、量刑に反映させることの重要性を強調しました。
ウトロ地区出身の具良鈺(クリャンオク)弁護士も海外からオンラインで参加。ウトロ平和祈念館を支える市民の会事務局長の崔相九(チェサング)さんのビデオメッセージも紹介されました。
参加者により動機を解明し、ヘイトクライムの危険性に即した起訴・求刑を行うことなどを求める集会アピールが採択されました。