街頭で訴える吉崎あつ子候補

 綾部市長選が1月16日告示され、同23日に投開票を迎えます。「みんなでつくる綾部民主市政の会」の吉崎あつ子候補は、「コロナ感染拡大から命と暮らしを守る」と訴え、奮闘しています。同市長選では、全国でオミクロン株の感染拡大が続くもと、検査体制の拡充や生業への支援など「住民の命、暮らし、営業を守る」という自治体本来の役割を発揮する市政の実現が求められています。

 検査拡充要求に現市政「国・府の仕事」⇒無料検査事業所は綾部市内ゼロ

 オミクロン株による感染拡大の防止のため、PCRをはじめとする検査体制の拡充・強化が必要です。府内でも始まった無症状者を対象にした無料検査を実施している事業所は、綾部市に隣接する福知山市(2カ所)と舞鶴市(4カ所)にはありますが、綾部市にはありません(12日段階)。

 年末に2年ぶりに帰省した女性は、帰省前に福知山市で無料検査を受けたと言い、「綾部でも早く、『いつでも、だれでも、無料で検査』を実現してほしい」と話します。

 検査拡充をめぐり、吉崎氏の呼びかけで20年8月に住民団体「あやべPCR検査を求める会」が結成され、福祉・介護・保育など60以上の事業所を訪問し、社会的検査の実施などを同市へ申し入れてきました。同会の大島孝恵さんは、申し入れに対し、同市は「国や府の仕事」として背を向けたと語ります。

 市議会でも、同市独自の検査体制の拡充に対して、「国や府の動向を注視したい」(昨年9月定例会、副市長)、教職員の検査について費用対効果の観点などを理由に「現段階で考えていない」(同、教育長)と「拒否」しています。

 「綾部ひまわり共同保育園」の森稔泰園長は、市を通じて抗原検査キットは配布されていますが、国が福祉施設などで行っている定期的な検査の対象ではないとし、「何より子どもの健康のため、そして保護者が安心して子どもを預けられるよう、市としてできるなら検査体制を拡充してほしい」と語ります。

 また、感染症対応の「要」となる保健所の業務逼迫が課題となるなか、2004年に中丹東保健所(舞鶴市)に統合され、廃止された綾部保健所について、現市政は府に復活を「求めない」姿勢です。

綾部保健所があった建物

 コロナ禍で顕在化した経済的理由で生理用品を買えない「生理の貧困」。対策として、学校トイレに生理用品を置く取り組みが府内でも広がっています。

 日本共産党の中島祐子市議は昨年7月にSNSでアンケートを実施し、高校生や保護者ら50人が回答。結果は、過去1年に経済的理由で「生理用品の交換頻度や回数を減らした」(22%)、「生理用品の入手に困った」(10%)となりました。

 結果をもとに中島市議は昨年12月定例会で小中学校トイレへの設置を求めましたが、教育部長は保健室で配布していることを理由に「現段階で考えていない」としました。

 同市の農業産出額は府内7番目、米では5番目の水準です(19~20年の農水省統計)。しかし、米農家はコロナ禍による外食需要の減少などで2年連続の米価下落に襲われています。府内では府を始め、下落対策として独自支援を行っていますが、同市では未実施です。

 「いまだに客足はコロナ前の水準の2割程度」。綾部民主商工会の荒田圭事務局長は加盟するスナックと居酒屋の厳しい状況を語ります。緊急事態宣言解除後の昨年10月以降も、週末しか一定の客足が戻っていない状況だと言います。この間、共産党市議団は40以上の飲食店や旅館などの事業所を訪問する中でも、「(コロナ以前に)戻らないが何とかやっている」など現状が語られ、持続化給付金の再支給など直接給付を求める訴えが寄せられています。

 同市では、就学援助を受ける世帯の割合が過去20年で最高になっており、子育て世代での生活難の拡大が予想されます。

 「子育て支援にもっと力を入れてほしい」。市内で3人の子どもを育てる40代の女性は語ります。6日の公開討論会で山崎市長は子育てと教育に「とりわけ予算を配分してきた」とアピールしました。

 しかし、同市の保育料は北部5市で最も高額です。保育料は、保護者の所得に応じて設定されています。同市で最も該当者の多い所得範囲での保育料は月額4万4000円で、隣の福知山市より月額で約4400円~約1万1000円高くなっています。保育料の見直しについて、山崎市長は「かなりの財源がいる」と難色を示しています。

 子どもの医療費無料化は中学校卒業までとなっており、高校卒業までの拡充については、

「全額が市の負担となる。福祉制度全体の中で研究していくべきこと」(17年12月定例会、福祉保健部長)と実現していません。  前出の母親は、「保育料もですが、特に医療費は負担で、高校生の娘に『ちょっとぐらい我慢して』と言ったこともあり、早く高校卒業までにしてほしい」と語ります。

事務所開きで公約を訴える吉崎候補(1月10日)

市民と共同“あったか市政”つくる/事務所開きで決意表明

■「生理の貧困」小中学校トイレに生理用品「すぐ設置」
■「子育て支援」給食費無償化、高卒まで医療費無料拡充目指す

 吉崎あつ子候補は1月10日、事務所開きを行い、コロナ禍から命と暮らしを守り、「綾部に住み続けて良かったと実感できる『あったか市政』をつくっていく」と決意を語りました。

 吉崎氏は、コロナの感染拡大をめぐり、「今すぐやるべきことは、『いつでも、だれでも、無料』でPCR検査を受けられるようにすること」と強調し、検査体制拡充を訴えました。

 また、コロナ禍で子育て世帯が困窮しているとし、給食費無料化や高校卒業までの子どもの医療費無償化の実現が必要だと述べました。

 検査拡充を求める住民団体の役員として事業所を訪問する中で、社会を支えるケア労働の処遇改善の必要性を実感したと言い、「賃金引き上げへ実情を把握し、労働条件引き上げのため事業者とともに知恵をしぼりたい」と述べました。

 経済対策として、商工業者への直接支援が必要であり、持続化給付金の再支給を国に求めると強調。21年産米の米価下落に対して、独自の支援を行うとしました。

 「生理の貧困」をめぐり、ジェンダー平等の観点からも生理用品の小中学校トイレへの設置に「ただちにやりたい」と意欲を示しました。

 他に、公約として▽災害に強いまちづくり▽再エネ推進▽二酸化炭素排出削減▽農林、商工業の後継者育成の支援▽特産品の販売場所の設置▽介護利用料の見直し─などを紹介し、「『あったか市政』実現の先頭に立つ」と決意を述べました。

 日本共産党の山内健中丹地区委員長は、コロナ禍の検査体制拡充や給食費無償化などの子育て支援について、「市民のためにやるべきことを財源をつくって実現するのが市長の仕事。この選挙で市政を大きく転換しよう」と呼びかけました。搗頭久美子・綾部市議団長、原田完府議団長、綾部平和センターの大槻正則議長が吉崎市長の実現を訴えました。

 事務所=綾部市岡町斗代6番地(府道8号沿い)。☎0773・40・1120、FAX0773・42・2442。