「より豊かな学校給食をめざす京都連絡会」は2月5日、第41回京都集会を京都市南区の京都テルサで開き、オンラインを併用した講演とシンポジウムを通して、学校給食の果たす役割や課題の改善に向けて交流しました。

 全体会では、京都教職員組合の中野宏之委員長の開会あいさつに続き、東京大学大学院の鈴木宣弘教授が「持続可能な食の未来を目指して」と題して講演しました。

 鈴木氏は、コロナ禍で一層、日本の食料危機が顕在化したと強調。食料自給率では、野菜や卵など高い数値を示している品目でも、種やひな鳥を海外に依存しており、「輸入が止まればお手上げ。ほとんどの品目で生産構造が弱い」と指摘しました。他方で、コメや乳製品の在庫の問題は、生産の過剰ではなく、買いたくても買えない人がいるとし、政府がやるべきは、「作るな、絞るなではなく、生産者から買い上げて、困窮世帯に届けることだ」と述べました。

 日本の食料自給率の低下や、遺伝子組み換え、農薬の規制緩和の背景には、米国の要望に拒否できない日本の農政の問題があることを解説。食料自給は独立国家の最低条件であり、米国の言いなりに兵器を買い増しするのが安全保障ではないと批判しました。

 食の安全や食料安全保障を取り戻す対案として鈴木氏は、生産者が安全な食物を作り、消費者が支える地域循環型の農業経済を提唱。その農産物の需要の大きなカギを握るのが学校給食だとし、韓国の学校給食で、有機食材の使用と無償化が進んでいることを紹介し、「子どもたちの食の安全を守るために学校給食をより良くする方向性をさらに強めよう」と激励しました。

 講演に先立ち、同連絡会の金井多恵子事務局長が基調報告。京都府に、給食の食材に有機食材の積極的使用と給食費の無償化を求めて要望したこと、呼びかけ団体である「小学校のような全員制の中学校給食をめざす連絡会」として、京都市に、全員制の中学校給食を実施するよう求める署名に1月から取り組んでいることを報告し、協力を呼びかけました。