京都弁護士会(大脇美保会長)は3月8日、北陸新幹線延伸計画(敦賀―新大阪間)について、慎重な再検討を求める意見書を政府や自治体などに提出しました、同日記者会見し、延伸工事による環境への影響やルート選定の問題点、自治体の財政負担問題などについて解説し、「延伸計画の中止やルート変更を含めて慎重に検討すべき」と強調しました。

 同会が意見書を提出したのは、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」河内隆理事長、斉藤鉄夫・国土交通大臣、西脇隆俊・京都府知事、 門川大作・京都市長です。

 意見書では、同延伸計画について、府の大部分をトンネルで貫くことによる水質・地下水など自然環境に対する悪影響があることや、工事による大量の発生土(残土)の処理問題、活断層などを鉄道が通る危険性、景観・文化財への悪影響など指摘。鉄道・運輸機構に対し、延伸計画の中止やルート変更を含めて慎重に再検討するよう求めています。

 府に対しては、問題点が解消できるのか徹底的に検討して、環境影響評価に基づいて鉄道運輸機構に意見を述べるよう要求し、市民の意見を聞く機会を確保することなどを求めています。

市民に知られないまま巨大開発

 会見には、同会の浅岡美恵、森田浩輔、松井佑樹の各弁護士が参加。浅岡氏は、京都府内はほとんどがトンネル区間だとし、環境への影響や大量の残土の処理問題などを指摘し、「市民によく知らされないまま、巨大な開発計画が進められていることに危機感を持っている。これだけの環境破壊をした上で、新幹線延伸そのものが必要なのかが問われている。リスクが高い上にメリットが乏しい計画だ」と批判しました。

 意見書の全文は同会ホームページに掲載されています。https://www.kyotoben.or.jp/pages_kobetu.cfm?id=10000222&s=ikensyo