すべてのケア労働者への賃上げを求めて会見する、「賃上げアクション@京都」のメンバーら(4月21日、京都市内)

 2年以上続くコロナ禍のもと、5月1日にメーデーが開かれます。コロナ対応に追われ、過重労働と人手不足に苦しむケア労働者に対し、政府の賃上げ施策はまったく不十分です。京都総評と医療・福祉関係の労働者らでつくる「ケア労働者の大幅賃上げアクション@京都」は、府への要請や街頭宣伝などに取り組んでいます。看護、介護、保育などの現場から、大幅な賃上げと労働条件改善を求める声が噴出しています。

看護3718円、介護5337円にとどまる・・・京都医労連調査

 「金額が少なすぎて、まったく賃上げの実感がない」「全てのケア労働者を対象にすべき」―政府の施策に改善を求める声が広がっています。

 政府の処遇改善策は、今年2月から9月までの期間、看護師月4000円、介護・保育・福祉・学童保育などの労働者は月9000円の賃上げを行うもの。しかし、期間が限定され、賃上げ額が低すぎることや、業種が限定(支給対象は看護師、介護士、保育士など)されていること、事業所も限定(病院ではコロナ対応で救急搬送件数が年200件以上など)されていることから改善を求める声が上がっています。

 京都医労連の調査(52営業所。うち病院40、介護12)では、処遇改善策で看護師へのベースアップを行った事業所はゼロで、手当として支給した事業所は24カ所、平均額は3718円。介護事業所では、ベースアップは1カ所、手当で支給したのが12カ所で、平均額は5337円でした。

 京都医労連の坂田政春書記長によると、事業所内で看護師や介護士以外の職種で賃上げすると、平均額が下がる事態になっているとし、「同じ法人や事業所内でも職種によって賃上げにならないなど、分断も起こっています。金額を抜本的に引き上げるとともに、対象業種を全てのケア労働者に広げるべき」と話します。

 同アクションは4月22日、府知事に対し、賃上げと処遇改善を求めて要請。要請書では、全てのケア労働者を対象にすることや申請期間の改善、患者負担ではなく国庫負担で賃上げを行うことなどを求めています。

コロナ患者受け入れ病院も「対象外に」

 懇談では、自治体の学童指導員として働く会計年度任用職員は年収100万~200万円程度であり、介護事業所のケアマネジャーの手取りは月約20万円などの実態を示し、「こうした低賃金のケア労働者が処遇改善事業の対象になっていない。国に対して対象にするよう求めてほしい」と述べました。

 坂田書記長は、対象業種を広げるとともに、コロナ患者を受け入れていても救急搬送件数が足りないことなどで処遇改善策の対象外となる病院が府内に8つあることを示し、「府もコロナ患者受け入れを要請している。なぜ対象外なのか。全てのケア労働者の賃上げを」と求めました。

 府の担当者は、国への要望を受け止めるとともに、「府の独自施策として何ができるか内部で検討したい」と述べました。

 京都医労連は同日、京都市下京区の四条大宮交差点でケア労働者の大幅賃上げを求める街頭宣伝を実施。医療従事者らがマイクを握り、「医療従事者は、コロナ禍で、人手不足や感染症対策に追われています。すべてのケア労働者を対象に賃上げを行い、配置基準を抜本的に引き上げるべき」と訴えました。参加者は、「看護師増やせ」「全てのケア労働者の賃上げを」などのプラカードを掲げてアピールしました。

 同アクションは、すべてのケア労働者の賃上げを求める緊急オンライン署名(URL=https://chng.it/sMcwjvf5)を呼びかけています。署名のページは「京都総評」のホームページでも紹介されています。