京都市議会は6月1日、5月議会の最終本会議で、元市立福西小学校(西京区)の校舎解体工事請負契約の議案を全会一致で否決しました。契約議案が全会一致で否決されるのは異例。日本共産党京都市議団の井坂博文団長は公共工事に対する、市の姿勢が厳しく問われていると話します。

 同工事は、元福西小を竹の里小と統合し、2025年4月には、西陵中と合わせた小中一貫校にするため、元福西小の校舎を解体撤去するもの。市教委は3月、一般競争入札を実施。伏見区の土木解体工事会社「キョウラク」のJV(ジョイントベンチャー)が3億8000万円で落札し、仮契約が結ばれていました。

 ところが、同社が架空の外注費を計上して約7600万円を脱税したとして、大阪国税局が京都地検に告発していたことが、議案審議後の5月下旬、報道で判明。そのため、本契約に向けて5月議会に提案されていた議案は、最終本会議で否決となりました。市教委は仮契約を解除し、再入札で新たな事業者の選定を行うことになります。

「脱税」報道後も仮契約解除せず

 井坂団長は「そもそも、この工事が必要だったのか。校舎を改修し、活用し続ければ約4億円もかけた解体工事は不要だった」と指摘します。さらに、「キョウラク」について「複数の下請け業者に虚偽の請求書を作成させるなど、手口は悪質」と強調。「市教委が仮契約をするに当たり、こうした事実を知らなかったではすまされない。また、事実が報道で分かっても仮契約を解除せず、議案を本会議に諮るなど、悪質業者への態度は弱腰だ。今回の問題を通じて、市の公共工事のあり方や税金の使い方が改めて問われている」と話しています。