戦争を止めさせる最大限の外交努力を ロシアのウクライナ侵略で憲法9条京都の会がアピール
「憲法9条京都の会」は6月15日、ロシアによるウクライナ侵略に対して、「戦争を止めさせる最大限の外交努力を日本政府に求める」としたアピールを発表しました。
アピールでは、2月の侵略開始から100日以上が経過したもとで、国連憲章に反する武力行使をはじめ、国際人道法に反する民間人の殺傷・虐殺、核兵器による威嚇や原子力施設への攻撃など「人類にとって最大級の脅威」と非難しています。こうしたもとで、世界各国の政治指導者から戦争をとめようとする動きがないことを憂慮し、バイデン米大統領が「専制主義対民主主義」との構図で対立を強めようとしていることについて、「多くの人々が望んでいるものではありません」と指摘しています。
最後に、9条にもとづく平和国家として歩みを生かし、戦争を止めさせる最大限の外交努力を行うことが「私たちの国にふさわしい役割」と強調しています。
以下、アピールの全文です
ロシアが始めたウクライナでの戦争を止めさせる、最大限の外交努力をするよう日本政府に求めます
ロシアのプーチン政権がウクライナへの侵略を始めてから、早くも100日以上が経ちました。プーチン政権の武力行使は国連憲章2条4項に反するのみならず、無辜(むこ)の民間人を殺傷、虐殺しており国際人道法にも反しています。さらに核兵器による威嚇や原子力施設も攻撃対象とするなど、人類にとっての最大級の脅威だと、改めて非難しなければなりません。ウクライナにて戦禍で傷つき、逃げ惑う人々の様子が報じられるのを見て、誰もが胸を痛めています。そしてこの戦争によって、食糧や資源をはじめ、世界中の経済や環境に多大なる影響が出ています。何としても早く戦争を終わらせなければなりません。
それなのに昨今、この戦争を停めようという動きが各国の政治指導者からほとんど見られません。5月23日の岸田首相とバイデン米大統領との日米首脳共同声明でも、ロシアに対する制裁を呼びかけましたが、戦争を終わらせようというものではありませんでした。それどころか、バイデン大統領の主張する「『専制主義』対『民主主義』」の対立を前提に、世界を分断し、対立を強めていっています。このような動きは、多くの人々が望んでいるものでは決してありません。
日本国憲法前文は、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と述べています。ウクライナの人々も、ロシアの人々も「平和のうちに生存する権利」があることを確認し、誰もが戦争で傷つくことをなくそう、との思いを込めています。日本は戦後、憲法9条のもと、戦争で殺すことも殺されることもなく「平和国家」として歩んできました。日本はいまこそ、平和憲法と「平和国家」としての歩みを生かすべきです。
私たちは、日本政府に対し、アメリカや中国にも働きかけ、一日も早くこの戦争を止めさせる最大限の外交努力をするよう強く求めます。それこそが、世界中の人々の願いにも適い、私たちの国にふさわしい役割だと確信します。
2022年6月15日 憲法9条京都の会