茅葺集落の風景と生業を守りたい 美山茅葺株式会社代表取締役会長・中野誠さん #北陸新幹線「地下延伸」を考える
南丹市美山町北村の集落に生まれ、茅葺職人となって創業して30年になります。この村の風景を守りたい、そのために自分ができる事を考えてきました。今も北村約50戸のうち、39戸は江戸期から残る茅葺屋根です。
北村は1993年12月、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。仕事で日本各地の社寺や民家などの茅葺屋根の修復をしていますが、観光地でありながらここで暮らし、生業を続けている茅葺集落はとても貴重です。日本一だと自負し、大内宿(福島県)、白川郷(岐阜県)とならんで世界遺産にすべきだと考えています。
観光業で成り立つ村に、巨大なトンネルを掘る新幹線は似合いません。工事の残土や資材運びなどに、ダンプカーが毎日、何百台も通れば、ダメージは大きいです。「京都・美山・かやぶきの里保存会」も反対表明をしています。
府北部を流れている由良川は、美山町にある芦生の森の一滴から始まっています。村の横を流れ、田畑を潤す水源としても貴重な水です。魚をとり、子どもたちが川遊びをし、村の年中行事でも欠かせない川です。トンネル工事で水が枯れたり、残土で汚染されることはあってはならない。自分たちの世代の責任として、反対の声をあげなければいけないと思います。
2兆1000億円という工事費も驚きですが、府北部にはトンネルだけで駅もなく、悪影響だけです。それよりも道路整備や将来にわたって茅葺集落が存続できることを考えていただきたいです。