織と染 切磋琢磨の結晶 「美しき色、いにしへの裂 ぎをん齋藤と染司よしおかの挑戦」 左京区・細見美術館、8月28日まで
京都の老舗呉服店「ぎをん齋藤」の7代目当主・齋藤貞一郎氏(1948~2021年)と植物染の「染司よしおか」5代目当主・吉岡幸雄氏(1946~2019年)が創作した作品や古代から中世の裂地の収集品を紹介する展覧会「美しき色、いにしへの裂 ぎをん齋藤と染司よしおかの挑戦」が、京都市左京区の細見美術館で開催中です。8月28日まで(展示替えあり)。
展示は、同時代を生きた二人が、織と染で切磋琢磨しながら、史料を読み込み、研究を重ねて古代の色や技法を再現してきた課程をたどります。第1展示室は、吉岡さんが宮中行事を記した「延喜式」を読み解いて復元した「紫根」染め、正倉院の裂地から復元に挑戦した紅花染めや茜染めの作品、宮中の七夕や鉾町の祇園祭の飾りなどが並びます。
第2展示室は、染織コレクターとして知られる齋藤さんが集めた、中世から桃山時代の辻が花や慶長裂、縫箔など希少な裂地とともに、江戸期に廃れた摺箔の技法を職人らと研究する中で手がけた「摺箔老松屏風」、龍や「日・月」など、金箔を使った作品からはあふれる生命力を感じます。
第3展示室では、二人が収集した正倉院裂(奈良時代)、辻が花裂(桃山~江戸時代)、古代印度更紗、縫箔などの貴重な裂地が展示されています。
会期中、計100点が展示される予定。同美術館では「互いの店舗が近く、色や織について道端で立ち話をしたり、史料を読み合うなど交流も深い。同時代を生き、偉業を成し遂げた二人だと思います。後継者育成にも力を入れ、伝統技術を伝えようとする心意気を感じ取っていだきたい」と話しています。
午前10時から午後5時(入館は午後4時半まで)、一般1400円、学生1100円。問い合わせ☎075・752・5555(細見美術館HP https://www.emuseum.or.jp/)。