京都市男女共同参画センター「ウィングス京都」強化・充実こそ 発展求める市民団体発足/京都市が民間移管、存廃を検討
京都市男女共同参画センター「ウィングス京都」(中京区)を京都市が民間に貸し出そうとしている問題を懸念して、女性、研究者や弁護士らが3月5日、市民団体「ウィングス京都☆みんなの会」(共同代表=木戸さやか、馬場信子、藤井豊)を結成。同日、全国女性会館協議会の納米(のうまい)恵美子代表理事を講師に、同施設の役割や価値について考える講演会を同施設で開き、50人を超える参加がありました。
「ウィングス京都」は、男女共同参画を推進するための拠点として、多くの女性団体の運動を背景に京都市が1994年に開設。ジェンダー平等施策の推進のための拠点施設として、講座、情報発信、性暴力の相談やシングルマザーの支援、市民団体の活動の場の提供など、多くの事業を担っています。
講演に先立ち代表の一人、馬場さん(助産師)は、京都市が21年の行財政改革に端を発して同施設の民間移管・存廃の検討を行っている一連の経緯を紹介し、市の男女共同参画推進事業の拠点施設を民間に任せる動きの問題点を指摘。女性を支援する新法が来春、施行されることにふれて、拠点施設の重要性を述べ、「今後のあり方を一緒に考えたい」とあいさつしました。
納米氏「センターの重要性増している」
「男女共同参画センターの可能性とこれから」と題して講演した納米さんは、男女共同参画センターは、国の「女性版骨太方針2022」でも機能の強化・充実がうたわれており、その役割の重要性が高まっていることを強調し、機能強化に向けてワーキンググループによる検討が現在行われていることを紹介しました。機能強化のためには、事業を担う人と安定した財源が必要だと強調し、施策やセンターの管理監督を担う自治体の役割と市民が行政に声を届けることが重要になると指摘しました。
意見交流で、大脇美保弁護士が、京都弁護士会が昨秋、市長宛に提出した「京都市男女共同参画センター(ウィングス京都)の存続・発展を求める要望書」について紹介したほか、同志社大学の岡野八代教授、立命館大学の斎藤真緒教授、サウンディング調査(公共施設の活用方法についての民間事業者の意向調査)の情報開示を求めた女性らが発言。「市民の意見を聞かず、公共施設を民間企業のもうけに提供することは行政の暴挙だと思う」(岡野氏)などと述べました。
市議会での質疑を報告した日本共産党京都市議団の堀信子議員は、「方針を決めてから説明するという市の姿勢を、市民の声で押し返そう」と激励しました。
閉会あいさつで共同代表の藤井豊弁護士が、「ウィングス京都」の発展を目指して活動する意向を述べ、会への賛同を呼びかけました。