講演する河内教授

 戦国期の南蛮寺ゆかりの中京区姥柳(うばやなぎ)町で、休み山となっている祇園祭の山・布袋山(ほていやま)の復興を目指す一般社団法人祇園祭布袋山保存会は7月7日、戦国期の祇園祭の研究者河内将芳・奈良大学教授を招いた特別講演会を京都市下京区のひとまち交流館京都で開催。河内教授は、約50人の市民が熱心に聞き入るなか、調査した史料や絵図をひもとき、布袋山の歴史を紹介しました。

 河内教授は、布袋山は、応仁の乱前には存在が確認できず、応仁の乱による33年間中断を経て、祇園祭(祇園会)が再興された明応9(1500)年、前祭の19番目に巡行したことが八坂神社所蔵の『祇園会山鉾事』に記され、寛文7(1667)年刊行の『京雀跡追(きょうすずめあとおい)』には、いつの頃からか巡行されなくなった、とあることから、明応9年に巡行するようになり、寛文7年までの間に巡行しなくなったと指摘。

 その後、宝暦12(1762)年の『京町鑑』にも、布袋山の布袋を土蔵に納め、毎年6月6日、7日、13日、14日に、公開していたことや、文化9(1812)年の『増補祇園御霊会細記』にも近年巡行せず、祭礼前日に布袋の像を飾っていたが、天明8(1788)年の大火で焼失し、布袋を絵に写して表具にして、町内に秘蔵した、ことなどが書かれており、天明8年まで飾りを展示する居祭りが行われてきたと解説しました。

 講演に先立ち、同保存会の川島義明会長があいさつ、二之湯智前衆院議員も来賓のあいさつをし、布袋山再興に向けて協力を訴えました。

あいさつする川島会長

 同保存会は2日から8日まで、ひとまち交流館京都で、展示「山町鉾町ー今むかし」を行いました。

 四条室町の京都経済センターの地で戦後行われた相撲の巡業の写真をはじめ、川島会長の祖父が営んでいた物資問屋「鶴清(つるせい)」が大理石を納入して1915年に改築した三井銀行京都支店(現・三井住友銀行京都支店)など銀行や豪商の写真や資料を展示。

 地元に住む、千種人形作家・森山さち子さんが制作した布袋や、祇園祭のくじ改めなどの場面の作品なども出品されました。

川島会長の祖父が営んでいた物資問屋「鶴清」が大理石を納入して改築した際に三井銀行京都支店前に並ぶ「鶴清」の店員ら