大軍拡方針が伏見を「軍都」にした 伏見ピースメッセージ展プレ企画 実行委メンバーが第16師団設置の背景を解説
戦争の記憶を語り継いでいこうと京都市伏見区の住民らが毎夏、開催している「伏見ピースメッセージ展」(27日から、同実行委員会主催)のプレ企画が7月16日、同区で開かれました。実行委員会の家野貞夫、仲野良典両氏が、伏見区が戦前の「軍都」から、戦後には教育施設が集中する「学都」へと変わった歴史などについて講演しました。
両氏は昨年7月にも「軍都から学都へ」と題して、ピースメッセージ展で講演。今回、新たに分かった事実なども加えて、解説しました。
伏見区深草、桃山地域には戦前、2万人の兵員を抱える陸軍第16師団が設置(1908年)され、関西で最大級の軍事施設のある地域でした。家野氏は、同師団が設置されたのは、前年に「帝国国防方針」が策定され、「日本が大軍拡路線へと転換したからだ」と指摘。戦前の同方針が、岸田政権が、防衛費の大幅増強などの大軍拡方針を決めたことと重なると述べ、「日本を『新しい戦前』にしてはならない」と訴えました。
また、戦後、旧陸軍跡地をめぐり、自衛隊と京都学芸大学(現・京都教育大学)が獲得争いをし、同大学が〝勝利〟したことについて、家野氏は、「オール京都・伏見」の運動に加え、「地域住民の『自衛隊より大学を』との強い声があったからだ」と述べました。
「伏見では軍都の歴史を語り継ぎ、平和を求める活動が現在も続いている」と強調。今春、第16師団司令部跡に立つ聖母女学院と懇談ができ、「戦争を語り伝え、平和を守っていこうとする大学の意思を感じた」と述べました。その上で、「伏見にある多数の戦争遺跡から歴史を学び、語り継いでいこう」と呼びかけました。
仲野氏は「戦前・戦後の伏見の戦争文化」について講演しました。
第11回伏見ピースメッセージ展 27日(木)〜8月1日(火)午前10時(初日午後1時から)〜午後9時(最終日午後5時まで)、京都市伏見青少年活動センター。平和の手形作品、憲法、原爆、学校の平和の取り組み、伏見戦跡地図などの常設展示。企画(午後3時半〜午後4時半)、ピースコンサート(28日)、小倉勇さんを迎えて(29日)、ピーストーク(30日)、ブックトーク(31日)。特別企画=28日〜31日、平和いろはカルタ会(午後1時半から)、DVD上映(午後2時半から)。関連企画=③23日(日)午後1時半、伏見区役所。DVD上映「浮島丸70周年追悼事業を振り返る」。同実行委員会☎075・621・5598(新婦人伏見支部)。