戦前、戦中に発行された地域新聞

 府南部の戦争遺物などを展示する「第10回平和のための戦争展」(主催・京田辺・綴喜戦争展実行委員会)が8月8日から13日まで、京田辺市中央図書館ギャラリー、同20日、城陽市のアル・プラザ城陽でそれぞれ開かれ、合わせて市民約500 人が訪れました。

 日本海軍の陶製手りゅう弾の実物や、1916年から41年まで府南部で発行された地域新聞の記事などが新たに出品されました。

 陶製手りゅう弾は、城陽市民から遺品として提供されました。太平洋戦争末期、金属不足を補うために製造されたもので、硫黄島での戦闘や沖縄戦などで使用されました。

 府南部で発行された地域新聞は、青谷村(現・城陽市青谷)の「雑誌山城発行所」発行の「山城」「城南」「現代の青年」。展示では徴兵検査や住民による軍事訓練、冠婚・葬祭など諸行事全般を質素に行う多賀村(現・井手町)の「生活改善会」の取り組みなど、戦前・戦中の庶民の暮らしを報じる記事が紹介されました。

 このほか、日本共産党の元京田辺市議、塩貝建夫氏の父・塩貝光三さんが出征の際、武運長久を願って知人、友人らに寄せ書きしてもらった日の丸の旗や、光三さんが持っていた占領地などを書き込んだ地球儀なども展示されました。

 7月30日には、京田辺市社会福祉センターで、木津川市山城町出身の赤塚康雄・元天理大学教授による講演「第2次世界大戦下から戦後にかけての南山城地域の子どもたち その生活と教育」も行われました。

 実行委員会呼びかけ人代表の北村武弘さん(70)は「軍事費増大などが叫ばれ、戦争の影がしのび寄るなか、自分たちの住む地域にも戦争で亡くなった人がおり、戦争の傷跡が残っていることを伝えるため開催してきました。平和の尊さを知り、今後の教訓にしてもらえれば」と語ります。