国立大学法人法改悪案は廃案に 京都大など5大学職組が共同声明 「大学自治にとどめさす法案」
岸田内閣は、大学への政治介入を強める国立大学法人法改悪案を急きょ国会に提案し、強行を狙っています。同法案は、規模の大きい国立大学に対し「運営方針会議」の設置を義務付けようとするもの。同会議の設置を義務付けられる見込みの5大学の職員組合は10日、同法案の廃案を求める共同声明を発表し、15日、京都大学内とオンラインで会見を行いました。
同法案では、合議体「運営方針会議」に、中期目標・中期計画や、予算・決算の決定権、学長に改善を要求する権限を付与すると規定し、運営方針委員の選考にあたっては文部科学大臣の「承認」が必要と定めています。
合議体設置の構想は、政府創設の大学ファンドを原資に、「稼げる」分野の研究分野を支援する「国際卓越研究大学」を対象とした「改革」の一環として審議されてきたものですが、同法案は、「国際卓越研究大学」の最終候補の東北大学だけでなく、東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学と岐阜大学を運営する東海国立大学機構の4法人にも、設置を義務付けようとしているとみられます。
共同声明を発表したのは、京都大学をはじめ、東京大学、岐阜大学、名古屋大学、大阪大学の各職組。
共同声明では、「運営方針会議」委員を文科大臣が「承認」するなどの制度改正は、「文科大臣が運営方針会議を通じて大学を支配する仕組みづくり」と批判。
また、なぜ合議体設置が、「国際卓越研究大学」でもない大学の法人に求められることになったのか「理解することは困難」などとしています。
記者会見では、京都大学職組のワダ・マルシアーノ・ミツヨ執行委員長、髙山佳奈子副委員長、他大学の役員らが「政治と学問が癒着していく方向性を出している」「稼げる大学を目指す危険性がより大きくなる」「大学の自治が形骸化しており、とどめをさす改正案」などと発言しました。
大学関係者や弁護士らでつくる「『稼げる大学』法の廃止を求める大学横断ネットワーク」は同法案の廃案を求める署名を呼びかけています。HP https://bit.ly/daigakunetwork