音楽を奏でる喜びにあふれ バルカン室内管弦楽団・京フィルジョイントコンサート 2つのオーケストラに大きな歓声
「World Peace Concert in Kyoto 2023」と銘打ち、栁澤寿男さんの指揮によるバルカン室内管弦楽団と京都フィルハーモニー室内合奏団(京フィル)とのジョイントコンサートが11月24日、京都市伏見区の呉竹文化センターホールで行われました。
バルカン室内管弦楽団は、アルバニア系住民とセルビア系住民が対立する旧ユーゴスラヴィア連邦セルビア共和国コソボ自治州(現・コソボ共和国)にあるコソボフィルの首席指揮者に2007年就任した栁澤さんが、同年、バルカン半島の〝民族共栄〟を願って設立しました。
栁澤さんが20年4月に京フィルのミュージックパートナーに就任したことから、京フィルが栁澤さんにジョイントコンサートの開催を打診。コロナ禍を経て、3年越しで実現しました。
バルカン室内管弦楽団は、コンサートマスターのジャフェル・ジャフェリさんら弦楽奏者27人、打楽器奏者1人、計28人が京都入り。様々な民族のリズムを用いたコソボの名作曲家ベチリによる「スピリット・オブ・トラディション」をバルカン室内管弦楽団だけで演奏。ドボルザークの「弦楽セレナーデ ホ長調 作品22」、アンコール曲ドボルザークの「スラブ舞曲 作品72の7」を京フィルと共演しました。
京フィルは単独で、フランスの作曲家イベールによるユーモアとバラエティーにあふれる「室内管弦のためのディベルティメント」を披露しました。
紛争を経験して音楽を奏でられる喜びを、豪快かつ繊細に野趣に富んだ音色で奏でるバルカン室内管弦楽団、優しさにあふれ、チームワークの良さで少人数とは思えない色彩感あふれる演奏を届ける京フィル、観客は2つのオーケストラの個性を堪能し、惜しみない拍手を送りました。
演奏の合間に栁澤さんと西田二郎・京フィル副理事長とのミニ対談が行われ、栁澤さんは、苦難に満ちたバルカン室内管弦楽団の歩みを語りました。
バルカン室内管弦楽団の打楽器奏者のパトリス・ベリシャさんは「コソボ紛争で多くの人が犠牲になり、辛い思いをしてきました。オーケストラの一員としてすばらしい京都を訪れ、音楽を演奏できたのはうれしい」と語りました。