大型弾薬庫新設が計画されている陸上自衛隊祝園分屯地(精華町)

京都が戦場になる危険性高まる

 防衛省は2024年度予算案に、京都府など全国計14カ所に弾薬庫を新設するための建設費など222億円を計上しました。京都では、陸上自衛隊祝園分屯地(精華町、京田辺市)での整備費とともに、海上自衛隊舞鶴基地(舞鶴市)でも建設に向けた調査費が計上されています。弾薬庫は攻撃対象となるため、京都が戦場となる恐れが高まっています。

 政府は安保3文書に基づき、敵基地攻撃能力の保有や「継戦能力」の確保・維持のために弾薬庫を増設する方針。

 日本共産党の倉林明子参院議員の防衛省に対する聞き取りや、本紙の防衛省近畿中部防衛局に対する取材によると、同省は全国で2027年度までに約70棟、その先10年さらに約60棟、合計約130棟を整備する予定です。

 24年度予算案では、祝園分屯地に火薬庫8棟、整備場、倉庫等の新設に係る経費約102億円を計上。24年度に設計と造成に着手する予定。陸上自衛隊の管理のもと海上自衛隊との共同運用を行うとしています。

 祝園分屯地の大型弾薬庫建設をめぐっては、今年度4億円の調査費が予算計上され、同年6月、精華町議会は、同分屯地の火薬庫建設計画のための調査結果と、今後の計画の説明を求める国への意見書を全会一致で採択しました。

 防衛省が昨年12月18日、精華町長、京田辺市長に調査の中間報告と今後の計画について説明。これを受けて同町は同20日、町議会全員協議会の場で、防衛省の説明内容について報告しました。

 防衛省から提出された資料はA4判1枚だけ。調査の中間報告については、必要な保安距離や地盤強度などが確認でき、陸上輸送にも適していることなどから、「火薬庫を増設する上で適地」とする結論だけを明記したものでした。

 同町は、町職員と町議に質問内容を募り、数十項目にわたる質問状を今月15日、防衛省に送付しました。

 相楽平和委員会代表も務める坪井久行町議は「一般質問で活断層などについての不安を指摘してきたが、まともな説明はなかった。こんないい加減な中間報告だけで、『適地』として建設を強行することは許されない。今年度予算の計画の中では火薬庫の棟数、予算も祝園が最大。『台湾有事』に備え、祝園は後方拠点となってしまう。早急に反対運動のネットワークを結成したい」と語ります。

 舞鶴基地については、「舞鶴弾薬整備補給所」(舞鶴市長浜地区)内に約3棟を整備するための調査費用として約2億円が計上されています。また、既に同基地所属のイージス艦に米国製ミサイル・トマホークの配備も予定されています。

市民不在で大軍拡推進

 計画に対し、日本共産党舞鶴市議団の伊田悦子団長は「弾薬庫整備どころかトマホーク配備について、市民にも市議会にもまったく説明せず、着々と大軍拡を進めることは許されない」と語ります。

 また、報復攻撃を想定した自衛隊施設の強靭化をめぐり、来年度予算案で、府内3基地(経ケ岬、舞鶴、福知山)に計約20億円が計上されています。