ユニチカ工場で石綿暴露 宇治市の元労働者が救済求め提訴 中皮腫発症し今年3月に労災認定
繊維メーカーの日本レイヨン宇治工場(現ユニチカ宇治事業所)でアスベスト(石綿)を扱う業務に携わった元労働者の河合敏彦さん(73)=宇治市=が7月9日、石綿曝露に起因する悪性胸膜中皮腫を発症し、労災認定されたことを受けて、国に賠償金を求める訴訟を京都地裁に起こしました。
石綿工場の元労働者やその遺族が、国に対して訴訟を提起し、一定の和解要件を満たせば、国が賠償金を支払う「工場労働者型」と呼ばれる訴訟で、京都アスベスト弁護団としては初めてのケースです。
河合さんは1969年から同社に勤務し79年まで、繊維製品の製造工程で保温材として使用していた石綿入りの麻袋を扱う作業を、粉じんが充満する中で行っていました。
退職後に一度、退職者を対象にした健康診断を受けましたが、その時は異常はなく、中皮腫が分かったのは昨年9月。京都南労働基準監督署で今年3月、労災認定されました。
記者会見で河合さんは、「まさか自分が中皮腫だとは思わなかった。同僚の中には、石綿を扱っていたことを知らずに辞めた人が多い」と救済につなげる意向で提訴した思いを述べました。
弁護団の村山晃弁護士は、「河合さんに関しては一日も早く、国にすみやかに和解に応じるよう要求したい」と話し、「(工場型の)和解方法は国も通知しているが、救済されていない人が多い。弁護団に相談いただき救済者を広げたい」と呼びかけました。
相談の常設電話は、℡075・256・1891(京都弁護団)、℡0120・793・148(建設アスベスト訴訟全国弁護団)。
宇治市でアスベスト被害考える学習会 8月4日、宇治市産業会館
元ユニチカ労働者の被害者を励まし、身近なアスベスト問題を考える学習会が8月4日(日)午後2時から、宇治市産業会館第1研修室で行われます。宇城久地区労とアスベスト被害根絶をめざす京都の会共催。問いわせ℡075・662・5321(京建労)。