三山さん

 日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞は本当に嬉しいことです。

 私は長崎市出身で「胎内被爆者」です。44年前、34歳の時、父親が白血病で亡くなり、その時初めて、母親から被爆者であることを聞かされました。被爆について、父は一切語りませんでした。被爆者がいわれのない差別や偏見にさらされ、黙っているしかなかったからだと思います。

 そんな中、被団協の人たちが自らの苦しくつらい体験を語り、核兵器廃絶を訴え続けてきたことに、心から敬意を表します。

 しかし、政治の世界はどうでしょう。石破首相は、受賞は「極めて意義深い」といいましたが、受賞後の党首討論では「核抑止」論を掲げ、核兵器禁止条約への参加を否定しました。各党の公約を見ても、日本共産党以外の主要政党は「核抑止」に固執しており、悔しい思いでいっぱいです。

自民「核抑止力の強化」、維新「米国と原潜共有」、国民「拡大抑止の実効性確保」

 自民党の公約は、「核抑止力」の強化です。維新に至っては、米国との原子力潜水艦の共有まで掲げるなど、非核三原則に反する大軍拡路線です。国民民主も「拡大抑止の実効性確保」を掲げています。立憲民主、公明は「核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加」にとどまっています。共産党は、核抑止から抜け出し、核兵器禁止条約に参加する政府をつくることを公約しています。

 被爆者にとってノーベル賞がゴールではありません。悲願である核兵器禁止条約参加を実現させることです。そのためにも、唯一の戦争被爆国・日本政府の姿勢を変える必要があります。今度の選挙で共産党に大きく躍進してほしいと思います。