街頭で学費引き下げを訴える堀川氏(左)と井坂氏(10月2日、京都市北区)

 高すぎる学費に学生や保護者から悲鳴が上がるなか、東京大学が年約11万円の学費値上げを決めるなど、国公立・私立の各大学で学費値上げが実施されています。27日投票の衆院選では、さらなる学費の値上げの道を進むのか、日本共産党の躍進で学費を値下げし、「学費ゼロ」への道を進むのかが問われています。

 「軍事費を削って、学費・教育費にまわそうと言っているのは共産党だけ。本気で学費引き下げや奨学金の返済免除を訴えている。絶対に議席を増やしてほしい」。こう話すのは市内の私立大学に通うAさん(22)。4年間一人暮らしで、借りた奨学金の総額は約450万円。学費は両親が支払い、毎月約8万円の貸与奨学金とアルバイトで生活してきました。

 「家賃4万円を払うと生活はギリギリです。食費を削るために1食30円のうどんで過ごすなどしてきました。こんな状況でも学費の値上げが起こっているのは信じられない。すぐに学費を値下げしてほしい」

立命・同志社・龍谷が4年間で最大40万円の値上げ

 私立大学の初年度納付金は平均で約148万円、国立大でも約82万円です。京都府内では立命、同志社、龍谷の大手3私大が、4年間で最大40万円もの学費値上げを実施しています。京滋私大教連の調査で、受験料や下宿代など初年度にかかる費用は約294万円で、高学費に物価高騰が追い打ちをかけています。

 学費値上げを放置・推進してきたのは自民党政権です。憲法で「教育を受ける権利」がうたわれていながら、1971年の中央教育審議会答申から政府は大学の学費を「受益者負担」だとし、学費の値上げが進んできました。

 2004年の国立大学法人化後、国立大の運営費交付金を13%も削減し、私立大への助成も経常費の1割に抑制してきました。日本は先進国(経済協力開発機構=OECD)の中で、高等教育への公的負担が最も低い国の一つになっています。

 自民党の政務調査会と教育・人材力強化調査会は今年5月、盛山正仁文科相に対し、国立大学について「適正な授業の設定」を実施すべきとする提言を提出。3月の中央教育審議会の特別部会では慶應義塾長・伊藤公平氏が「国立大の学費を年150万円に上げるべきだ」と提言しています。

総裁選公約なのに東大値上げ〝止めない〟

 自民党総裁選で石破茂首相は「国立大学・高専の授業料無償化」を公約に掲げました。日本共産党の田村智子委員長が8日の参院本会議の代表質問で、このことに触れながら、「東京大学の授業料2割値上げなど、大学の学費値上げにストップをかけるべき。これが首相自身が掲げた公約を守る道だ」と要求。石破首相は学費値上げストップを明言せず、「高等教育費の負担軽減に取り組む」などと述べるだけでした。

奨学金6百万円返済中「食事は一日一食」

 事実上の借金となっている、学生支援機構の貸与奨学金の返済に、若者や保護者が苦しんでいます。貸与奨学金を返済中の社会人・寺平宣行さん(24)は、学生支援機構の奨学金約480万円と、福岡県独自の貸与奨学金120万円の計約600万円を返済中です。返済額は毎月約4万円。食事は1日夜のみの1食に抑え、朝・昼食は食べていません。

 「食費は月2万円前後に抑えるようにしています。奨学金と約5万円の家賃、食費を支払うと娯楽に使えるお金も少なく、貯金もまともにできません。将来が不安」と語ります。

「成績要件」で給付打ち切り、京都で1600人超

 2000年代以降、有利子奨学金が急増し、奨学金の貸与総額は15年間で2倍に膨れ上がり10兆円にのぼっています。学生支援機構の給付奨学金制度は20年からスタートしましたが、収入や成績などの要件を満たすことが必要です。本紙の調査で、22年度までの3年間で、府内大学で1600人以上が成績を理由に奨学金の給付が打ち切られたことが判明しています。

 日本共産党は衆院選公約で、学費ゼロ実現へ向けて、①ただちに授業料半額・入学金ゼロ②給付中心の奨学金の創設③奨学金返済の半額免除─を掲げています。

京都大学「値上げしない」、学費ゼロプロジェクトチームに回答

 堀川あきこ衆院近畿比例候補(京都2区重複)が代表をつとめる日本共産党京都府委員会「学費無償化プロジェクトチーム」は、学生や保護者らとともに学費無償化実現へ奮闘。京都府内の大学関係者と懇談を重ね、学費ゼロへの共感が広がりました。

 そのなかで京都大学からは、「学費を値上げしない」との回答を得ました。

 6月には、13人の学生らとともに文科省へ学費無償化の要望書を提出。請願署名4781人分と217人から集めたアンケートを手渡しました。

 要請行動に参加した寺平さんは、「堀川さんや共産党の国会議員の方が、学生や社会人の実態に寄り添い、本気で学費引き下げを求めて行動してくれました。共産党を大きくして、学費ゼロ、奨学金の返済免除制度を実現したい」と語ります。

文科省に学生の実態を伝え、学費引き下げの要望書を手渡す堀川氏(中央)ら(6月28日)